児童書作家として活躍する 今井 福子さん 深谷町在住 69歳
「死があるから生は輝く」
○…「ほとんどの作品で『死』の描写があります」。重いテーマだが口調は決して暗さを感じさせない。「『死』を身近に感じることで、生きる素晴らしさを知り、毎日を悔いなく過ごしてほしい」と前向きに語る。幼い頃に父から言われた「きょうすべきことはあすに伸ばすな」という言葉が、”日々を大切にしたい”という思いにつながったという。その信念を込めて書いた本は11冊に及び、県の推薦図書に2度選ばれている。
○…物語を書くようになったきっかけは小さなことだった。夫の仕事で尼崎にいた際に見つけた、「たった1つの童話を作りませんか」と謳った公民館の無料講座。自分の娘と息子に思いを伝えるために書いた話は思いのほか周りからも好評で、その後は家事育児に仕事と忙しい中で時間を見つけて執筆を続けてきた。「書くときは自分の感性が一番大切」と語り、子育てや日常で得た教訓を作品に織り交ぜることも多いという。
○…浅草で生まれ、6人兄弟の末っ子として育つ。劇団に所属した経験もあり、若い頃は舞台俳優を目指していた。2人の子どもには「ご飯をたくさん食べなさい」とだけ教え、「勉強をしろ」とは言わなかったそう。「元気が一番ですよね」とにっこり。17歳の孫とはカラオケや映画館に一緒に行くほど仲が良く、成人して最初に酒を酌み交わす相手として立候補している。
○…「ゲームに夢中な子どもの気持ちもよくわかる」とうなずきながらも、「本には人生にプラスになる知識が盛り込まれている。読んでくれたら」と力を込める。最近は児童向けだけでなく、大人や中学生向けの童話も書くそう。遠そうで近い「死」と、近くて尊い「生」を伝えるためきょうもペンを執る。
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