戸塚区深谷町に昭和の香りを色濃く残している定食屋・居酒屋がある。信濃路だ。店主は93歳の柴田けさをさん。定休日なし、午前11時半頃から夜まで休憩もなしで、客を迎え入れている。いまなお厨房に立ち腕を振るうほか、配膳もこなす立ち姿は年齢をまったく感じさせない。「毎日ここに来て仕事をしていることが健康の秘訣よ」とほほ笑む。
かつてのドリームランド近く、県ドリームハイツ前に建つ旭マート2階にある同店。昼時になるとお腹を空かした近くの横浜薬科大の学生や常連客などが足を運んでくる。
「からあげや焼魚の定食が人気ね」と柴田さん。パート従業員と一緒に次から次へと注文をさばいていく。時間が止まったような店内も魅力だが、おいしい食事と低価格が人気だ。ボリューム満点の定食は600円〜700円がほとんど。学生はさらに100円引きとなる。「儲けなくていいのよ。『おいしい』って喜んでくれれば」
長野県出身の柴田さんは看護学校を卒業後、看護師の道へ。21歳で結婚し、夫の仕事の関係で横浜に出てきた。車の製造会社を起業した夫を助けるため、従業員に三食食事をまかなった。これが料理と関わった始まりという。41歳で信濃路の1号店を開店させたものの、10年後、夫が56歳で死去してしまう。それから柴田さんは78歳まで社長として会社を切り盛りしながら、現在の場所に信濃路を移転させ、夕方から夜までは連日店でも働いた。「動いている方が調子がいい。生きている限り、ここで人生を楽しみますよ」。スッキリと語る。【電話】045・852・7056。
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