戸塚高校定時制が実施する職業体験が、地元の戸塚宿ほのぼの商和会の協力で、7月24日から9月12日まで行われている。生徒が実社会や地域住民と交流することで、卒業後の社会進出や就職の意識を促進する狙いだ。
同校の伊藤渉教諭によると、同校の生徒の多くは小中学生の時に不登校であったために、社会体験や集団行動を学ぶ機会を得られていない場合が多いという。
このような状況を踏まえ、同校では就職・就活以前に生徒が社会と交流できるよう、地元商店会と協力して職業体験を実施している。
協力したのは、戸塚駅西口の店舗・企業などが所属する戸塚宿ほのぼの商和会。同会の事務局が生徒の意向を汲み、会員に協力を呼びかけ、今回16事業所が生徒の受け入れを快諾した。
昨年の初めての実施と比較して、より多くの事業所が職業体験に賛同し、飲食店や薬局、石材店など多様な業種がそろった。
履歴書の送付や体験先との事前面談を経て、同校に通う高校3年生16人が参加。そのうちの1人、雨宮愛羅さんは「自分がよく髪色を変えるので、美容師の目線を知りたかった」と、同商店会の山崎正博会長が営む美容院「カットスタジオ スピリット」で2日間、美容師の職業を体験した。
接客や掃除など基本的な仕事から、洗髪やカラー剤の調合、カットなど本格的な美容師の業務も学んだ。体験を経て雨宮さんは「仕事の忙しさにも楽しさにも気づけた。本当のスタッフのように仕事ができたのは、山崎さんが快く指導してくれたおかげ」と笑顔だった。
山崎会長は「若者の自信につながる一歩を商店会で作れるのは、本当にうれしいこと。その意識をこれからも会全体で持って協力していきたい」と話した。
「安心して働ける未来を」
戸塚高校定時制では、卒業前に職場や働く人の雰囲気も理解できるような新たなインターンシップ制度を構想している。
多くの定時制高校では、最終学年の7月以降に求人が解禁。職場体験や応募書類の送付などを経て、10月ごろに就職活動に入る。インターンや会社説明会など、企業や働く人の雰囲気を理解できる機会が少ないことが離職率の高さに影響しているという。
そこで「短期間の職業体験から始まりアルバイト、本格的なインターンと段階を踏んで生徒が企業側と擦り合わせを行いたい」と伊藤教諭。一定のプロセスを経ることで、企業側も生徒個人の特性や得手不得手を把握でき、入社後のミスマッチ防止を図る。
実現には時間がかかるものの、伊藤教諭は「生徒がインターンを通していろんな職業を知り、安心して働き続けられるような仕組みを作りたい」と語った。
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