市営地下鉄ブルーライン踊場駅の出口横にある「踊場の碑」の屋根・看板の建て替え計画が、一人の地元住民によって始まった。近隣で生まれ育ち、不動産管理会社を営む石井慎一郎さん(49)は「これを機に踊場の猫伝説で、地域を活性化させたい」と意気込む。
手拭いを被った猫たちが、毎夜集まって踊っていた――。そんな伝説が由来の「踊場」。
泉区中田東にある「踊場の碑」は、猫の慰霊と近隣住民の安泰を記念して1737年に建てられた。さらに、交通量の多い長後街道の交通安全の願いも込められている。
現在、碑を覆っている屋根の老朽化は著しく、説明書きの看板も文字が消えかかっている。また、日ごろの清掃や供え物なども、近隣住民のボランティアで行われている状態だ。
石井さんは「地域に残る史跡や民話を残していきたい」と1年半ほど前に建て替えを計画。行政や自治会などに主旨を説明、相談しながら準備を進めてきた。
今後、屋根と看板のリニューアルを行う予定で、石塔はそのままの状態を保持する。資金はクラウドファンディングで募り、一定額の協力者は、説明書きとは別の看板に名前を残せる仕様にするという。石井さんは「地域伝承に親しんでもらいシンボルのような存在になれば」と語る。
イベント開催など計画今後の展望探る
石井さんは、踊場の碑がたどった歴史や日本各地に残る猫伝説の記録などを自ら調査する中で、「踊場は地下鉄駅がある利便性だけでなく、歴史的伝承とそれを発展できるポテンシャルがある土地」と気づいたという。
屋根と看板のリニューアルのためにも「まずはこの場所や伝説について、興味を持ってもらうことが必要」と、現在マスコットキャラクターの投票募集も行っている。下記二次元コードから8月末まで。
「多くの人と成し遂げたい」
さらに同じ猫伝説が残る静岡県・函南町の観光協会の協力を得て「かんなみ猫おどり」を誘致したイベント開催を計画している。
同町では、猫伝説にちなんだ祭りとして「かんなみ猫おどり」が開催されており、今年8月初旬で35回目を迎えた。毎年多くの人でにぎわう一大行事だ。
誘致イベントを開催することで「同じ伝説を持っていながら、こんな祭りをしている地域があるんだということを知ってもらうきっかけになれば」と話す。
石井さんは猫伝説にちなんだ将来的な地域活性化の可能性として、オリジナル猫音頭の制作や、招き猫として発展させ踊場を商いのパワースポットとするなど、さまざまな構想を練る。「協力を得ながら最終的にできるだけ多くの人と、おもしろいことが成し遂げられれば」と笑顔で展望を語った。
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