横浜薬科大学(戸塚区俣野町)がこのほど、県立がんセンター(旭区)と漢方薬の共同研究体制を構築した。両者は基礎研究と臨床研究を検証して国内外に発信することなどを通じ、医薬の発展に貢献したい考えだ。
横浜薬科大と県立がんセンターは、5年前の2019年に共同研究に関する協定を締結。コロナ禍で当初予定より遅れつつも、昨年12月に覚書を交わすことができ、今回の共同研究体制構築の実現に至ったという。
副作用の緩和に
今回の共同研究の対象は「漢方薬」。同センター薬剤科長でがん専門薬剤師の櫻井学さんは「がん治療の中で抗がん剤の副作用に苦しむ患者さんは少なくない。西洋薬でうまく和らがない時に、漢方薬が効果的なことがある」という。
そんな中、神奈川県立がんセンターは伝統医学の専門科として東洋医学科を常設しており、一方の横浜薬科大も開学当初から漢方薬学科を備えているため、今回の共同研究が実現した。
同大はこれにあわせ、漢方薬のうち「煎じ薬」も同センター内で処方することができるよう設備を整えたという。
人材育成と地域医療向上
両者の連携は、がん治療と漢方薬知識を融合することで、医療人材の育成と地域医療の向上を図ることが目的。
具体的には、同大教員が研究員としてセンターの医療スタッフとがんを含む難病治療に取り組み、そこで得られた臨床結果を基礎研究の視点から分析することなどが想定されている。さらに同大の学部生の研修や大学院生の研究支援なども盛り込まれている。
10月29日には同センターで、横浜薬科大からの認定証交付式が行われた。同大の都築明寿香学長は「現代医療における漢方薬の重要性は高まっており、今回の取り組みはそうした知識を備えた薬剤師の育成につながる。検証成果を広く発信し、医薬の発展に貢献したい」と期待を込めた。
同センター東洋医学科部長の板倉英俊さんは「漢方はニーズがあるものの、エビデンスや認知が十分でない面がある。共同研究がよりよい医療のための大きなきっかけになれば」と話した。
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