第111話 〜紡ぐ古道・その四:多くの地元の古道〜 とつか歴史探訪
戸塚・泉の両区には、この土地に根付いた多くの古道があります。
「ほしのや道」は、関東地方の観音菩薩を祀るお寺を札所とする坂東三十三観音のうち、8番札所の座間・星谷寺と14番札所の弘明寺をつなぐ霊場巡りの道です。旅人の向かう方向により「ぐみょうじ道」とも呼ばれました。
南区の弘明寺から芹ヶ谷あたりを経て、平戸の交差点あたりで旧東海道と合流し戸塚区に入ります。向かいの東福寺には"従是弘明寺観音"の道標があります。そのまま旧東海道を下り柏尾通り大山道から泉区・岡津の不動橋付近で大山道と分かれ、新橋で左折し松陽高校正門前を右折し宮沢の六道の辻の前に出ます。この辻の"これより ぐみょうじ道""これより ほしのや道"の道標を左に見ながら"ほしのや観音"に向かっていきます。
大橋の袂の碑には"大善寺 ほしのや 虚空蔵菩薩"と刻まれ、大善寺の淡島大明神と福泉寺の虚空蔵菩薩を経て「ほしのや」への参詣の道でした。原宿交差点付近の道標には、"北 星のや"と刻まれています。原宿から岡津〜藤沢・小田原をつなぐ「岡津道」を通り、地元で「鄕境道」と呼ばれる道を経て松陽高校付近で「ほしのや道」と合流します。
「ほしのや道」へは各地の道標から、いくつも辿る道があったことが窺えます。
又、「谷矢部道」は中田から谷矢部池前を通っていました。五太夫橋に名を残す石巻五太夫も家康を迎えにこの道を通ったのかも知れません。多くの地元の古道は、正に歴史を紡いだ証と言えます。
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