今年度、区内5つの地域防災拠点に下水直結式の仮設トイレが設置される。市は、2023年度までに全拠点に整備する方針だが、気になるのは進捗状況。災害時、非常食や飲料水と同程度の重みを持つトイレ事情を取材した。
今年度、新たに下水直結式の仮設トイレ(ハマッコトイレ)が、川上、汲沢、小雀、鳥が丘、矢部の各小学校(地域防災拠点)に整備される。
市は毎年度、地域防災拠点に5基ずつ設置を進めており、現在、戸塚区内では35拠点のうち秋葉、戸塚、東戸塚、東品濃、倉田各小学校、舞岡、戸塚、名瀬各中学校の8拠点で設置が完了。2023年度までに全ての拠点へ整備することを目標としている。
ハマッコトイレは、地震の影響で水洗トイレが使えなくなった際、排せつ物をプールなどの水を用いて公共下水道管へ流すことができるもの。各拠点に備蓄している便器や外壁パネルをマンホール上に設置して個室トイレを仮設し、使用時は下水管が詰まらないよう、約500回使用するごとに送水ポンプを使って水を流す仕組みだ。
整備の背景にあるのは、阪神淡路大震災などの大地震。避難所に長期間にわたり仮設トイレが行き渡らず衛生面や健康面での問題が多発したことを受け、災害時のトイレ対策を推進しようと、市は2009年度から市内にある防災拠点など459カ所を対象に「ハマッコトイレ」の整備を開始。地震による液状化想定地域や、避難者数が多くなる拠点を優先して整備を進めてきた。
区危機管理担当の山田大祐係長は「残りの拠点へ23年度までに設置を進めるには今後、1年度あたりの整備箇所数を維持するか増やしていく必要がある」と話している。
凝固剤型も推進
一方で、ハマッコトイレのような仮設トイレだけでは災害時に対応しきれないことが予測されるため、市では水洗トイレの便器に袋を被せて排せつできる「トイレパック」を各拠点に5000個ほど備蓄している。凝固剤で固めるものや吸収シートを使うものなどがあり、可燃ごみに出せることが特徴だ。だが、避難してくる人数に対してこの個数では不足することが考えられるため、市は各家庭で一人あたり1日5個の備蓄を提唱している。
市環境創造局管路保全課の新田巧課長は「被災時のトイレ機能の確保は、人々の健康や衛生面において非常に重要なもの。より一層対策に力を入れていきたい」と話す。
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