本紙では旧上瀬谷通信施設で開かれる万博「2027年 国際園芸博覧会」について山中竹春市長にインタビューを行った。山中市長は万博の意義や機運醸成の取り組み、渋滞対策などを語り、成功への意欲を見せた。
1都3県で初
--27年万博の概要を改めて教えてください。
「国内で7回目、1都3県では初の『万博』です。1985年のつくば万博以来、東日本では40年ぶりの万博が横浜で開かれます。会場は瀬谷区と旭区にまたがる旧上瀬谷通信施設で、2015年まで約70年間にわたり米軍施設として使われていました。約240ヘクタールの広大な土地は首都圏に唯一残る規模。今回の万博は、そのうち約100ヘクタールを使い開催します」
--開催の意義は。
「今回の万博の正式略称は『GREEN×EXPO 2027』です。グリーンという言葉には花や緑といった意味に加えて、『自然』『環境にやさしい』という意味もあります。近年、度重なる異常気象など地球温暖化に対する危機感が世界中で共有されています。
今回の万博は、そうした地球規模の課題に対して、自然の力を活かした解決策を示す『グリーン万博』です。世界中の注目が集まる万博という場所から新しい社会の姿を発信することで、多くの方々の意識や行動を変えるきっかけにしたいと考えています」
--具体的な展示や催事の計画は。
「例えば、横浜発の新技術である『ペロプスカイト太陽電池』は、薄く、軽く、曲げられるという特徴から、ビルの壁や自動車の上にも貼り付けられるなど、多くの可能性を持っています。今回の万博では、こうした未来の技術や新しい社会の姿を体験していただきたいと考えています」
未来創造会議、創設へ
--開催に向けた課題の一つに、認知度向上が挙げられています。
「今年を『機運醸成元年』と位置付け、市民の皆さまをはじめ、国内外の皆さまに、横浜で万博を開催する意義に共感していただけるよう、私自身が先頭に立って発信していきます」
--機運醸成の具体的な方法は。
「6月に『GREEN×EXPO 2027』をデザインしたロゴを作成しました。このロゴを活用し、ポスターなど広報ツールをさらに充実させ、市内の公共施設や交通機関、商店街や商業施設をはじめ、イベントでも積極的にブースを出展します。あらゆる場面を捉えて、機運醸成に取り組んでいきます」
--市民の参加を促す取り組みは。
「公園愛護会など、日頃から花や緑と接している皆さまの活動を万博につなげることをはじめ、特に、未来を担う若い世代の方々にご参加いただきたいと考えています。
その仕組みとして『ヨコハマ未来創造会議』を今年度立ち上げます。学生や企業の若手社員の皆さまにご参加いただき、脱炭素やSDGsなど、私たちが直面する環境問題に改めて向き合い、新しいライフスタイルを考え、議論してもらいます。その成果を万博やその先の未来につなげていきたいと考えています」
交通課題、対策進める
--開催中の交通アクセスや渋滞を心配する声があります。
「交通アクセスについては、周辺の主要駅からのシャトルバスなどを予定しており、交通事業者や博覧会協会とともに詳細な検討を進めています。また、アクセスルートとなる道路の拡幅や改良などを進めており、今年度中に一部着工します。関係者が連携しながら、しっかりと対策を行っていきます」
跡地活用の方向性
--万博後の跡地活用も市民の関心事です。
「郊外部の新たな活性化拠点の形成に向けて、あらゆる世代の皆さまが楽しめる場所となるよう4地区に分けたまちづくりを推進していきます。観光・賑わい地区では、次世代に向けたテーマパークを核とした複合的な集客施設の立地を目指します。このほか、本万博のレガシーを継承する公園・防災地区、新たな都市農業モデルとなる農業振興地区、国内向けの新技術を活用した物流地区を配置し、土地利用を進めていきます」
意義やコンテンツ発信
--開催に向けて市民へのメッセージをお願いします。
「今回の万博は、自然の持つ魅力や機能の大切さに触れていただくことに加え、地球温暖化など私たちが直面する課題に対し、グリーンの力を生かして、人や企業、社会全体で解決する未来を世界に示すショーケースにしたいと考えています。
開催に向けて、多くの市民の皆さまに共感していただけるよう、開催の意義やコンテンツをわかりやすくお伝えしていきます。そして、市民の皆さまとご一緒に、これまでにない新しい万博をつくっていく決意です。開催まであと4年。どうぞご期待ください」
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