戸塚区のシンボルである柏尾川の桜並木。現存する約350本の桜は、老齢化や病害によって倒木や枝折れが懸念されている。区は桜並木の保全・再生に向けた植樹の費用に、ふるさと納税を活用した財源確保を目指す考えだ。
区は2018年改定の都市計画マスタープランで柏尾川桜並木を生かした景観・街づくりを掲げており、昨年実施の区民意識調査でも、約7割の区民が桜並木の保全に取り組むべきとしている。
区制90周年に向け
29年に迎える区制90周年に向けた魅力づくりとして、区は今年5月開始をめどに、近隣の自治会町内会の連長や商店会、企業、学校などで構成される検討委員会を立ち上げ、アイディア出しを行っていく。
桜植樹のための新たな財源として、区はふるさと納税の活用を計画。24年度中に調整を進め、25年度からの寄付受付を見込む。植替えのためには深く張った古い木の根を抜根する必要があるが、狭い場所で重機を使用できない場合は手作業が必要になるなど、1本の植樹にかかる費用は150万円と想定される。仮に90本植替えを行うと1億3500万円が必要だ。
市費やみどり税で賄えない分の財源として、区は「企業版」と「CF(クラウドファンディング)型」の2つのふるさと納税を検討している。
企業版は、地方公共団体の地方創生プロジェクトに対し企業が寄付を行なった場合に、法人関係税から税額控除する仕組みを使ったもの。市外に本社を置く企業が対象。
CF型は区が使い道を示し、ふるさと納税を通じて寄付金を募る。対象は個人や企業を想定。市内在住者は返礼品を受け取れないが、区担当者は「イベント参加など何かしら還元できるように考えている。区をあげて桜の景観を維持し街を盛り上げていきたい」と話している。
直近5年間で100本伐採桜まつりで見納めの木も
柏尾川の桜並木の歴史は古く、江戸時代(1856年)に大雨で壊れた堤防の修復記念に植樹されたことが始まりとされる。その後、堤防の改修工事や、第二次世界大戦中は燃料として使用されるなど、何度も伐採と植樹を繰り返してきた。
柏尾川沿いの桜の多くは、1976年から80年にかけて植栽されたソメイヨシノで、寿命は一般的に60年前後といわれる。老齢化や病害にさらされた樹木は大雨や台風で倒木の危険性があるため、安全管理上、直近5年間では約100本の桜が伐採され、本数は減少の一途をたどっている。
戸塚土木事務所は2023年度、イオンスタイル戸塚がある元町橋付近から金井公園がある久保橋付近まで、約350本の桜の点検と樹木医による外観診断を行なった。ベッコウタケなどのキノコが生えた木は腐朽しており、危険なためすぐ伐採の判断になる。その他、樹皮の欠損や病虫害などさまざまな項目から樹木の健全度を把握し、危険度の評価を行う。
今年1月、倒木の可能性がある17本を伐採。今後さらに38本を予定するが、対象の桜が3月23日(土)に予定される「戸塚桜まつり」の会場付近に集中していることから、開花の季節を待っての実行が検討されている。
06年から柏尾川沿いの桜保全活動を行う戸塚桜セーバーの阪間隆会長は「ボランティアとして楽しみながら活動し、戸塚の桜を未来につないでいきたい」と話している。
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