戸塚警察署と大学生などからなる「チーム戸塚」が10月16日、上倉田町のマンションで地域住民に防犯講話を行った。詐欺被害に遭いやすい高齢者の防犯意識を高めることを目的に、初めて大学生が講師を務め、孫世代から注意を呼びかけた。
神奈川県警によると戸塚区内では特殊詐欺の件数が県内で2番目に多い60件、被害額が約1億3000万円(9月末時点の暫定値)。近年、区内の被害は件数・被害額ともに多い状況だ。
そんな中、戸塚警察署では月に10数件の頻度で、自治会・町内会や学校、病院などから依頼を受け、署員が地域住民に向けた防犯講話を行っている。
「チーム」で防犯
戸塚警察署と産業能率大学・神奈川大学の学生などは今年5月、特殊詐欺啓発を目的に「チーム戸塚」を結成。詐欺対策や闇バイト加担防止などの啓発活動に取り組んでいる。
今回その一環として初めて、両大学の学生が防犯講話の講師を務めるこになった。実施場所となった戸塚ハイライズの自治会は、以前から戸塚署に講話を依頼しており、大学生講師の登壇を快諾した。
同マンションには約400世帯が住んでおり、同自治会の森田洋郎会長は「高齢者の単身世帯が多く、被害が心配。警察から話を聞くだけでは自分事と考えづらいのではと思った」と実施の経緯について話した。
より多くの人に啓発できるよう、マンション住民だけでなく周辺の自治会・町内会にも声をかけ、53人が参加した。
寸劇やスライドで解説
今回、講師を務めた学生は8人。電話演技や戸塚警察署員との寸劇を交えて、「オレオレ詐欺」や「キャッシュカード詐欺」の手口を解説。犯人が電話口で語りそうなセリフや、家までキャッシュカードを取りに来る様子などを披露し、実際の状況をわかりやすく伝えた。
また、学生が制作したスライドを用いてATM振り込みでお金をだまし取る「還付金詐欺」についても解説。「還付金の返済方法として誤っているものはどれ」など参加者にクイズを出題し、対策の方法を伝えた。
さらに、野村證券(株)戸塚支店の担当者が、1回の被害額が大きい「投資詐欺」についても注意を呼びかけ、官民学連携で特殊詐欺対策を訴えた。
参加者からは「丁寧な解説でわかりやすかった」「引っかかりそうなものがあったので注意したい」などの感想があがった。
講師を担当した神奈川大学の女子学生(3年)は「今日話したことが、少しでも対策の参考になばうれしい」と話した。
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