振付家で「さかえっ子体操」を考案した 香瑠鼓(かおるこ)さん(本名:五十嵐薫子) 都内在住 56歳
世の中のビートに乗って
○…区民まつりでお披露目された「さかえっ子体操」。楽しみながらけがを予防するというコンセプトのもと、作詞・作曲のほか、全身で栄区の自然を表現、あいさつをするような振り付けをして、安全なまちになるよう思いを込めた。「いたち川が好きです。休みたくなる雰囲気」。栄区の子どもたちとともにステージに立ち、「(子どもたちが)いたち川の仲間をすくう動作をちゃんとやってくれて良かった」と微笑む。
○…引っ込み思案な子どもだったが、踊りや歌は好きだった。本格的に始めたのは高校生の時。ミュージカル研究会を立ち上げ、その頃から「オリジナルのものを作ろう」という思いを貫いてきた。大学卒業後は音楽活動の傍ら、プロダクションで踊りを指導。教え子だった歌手・石井明美さんの「CHA‐CHA‐CHA」のヒットが、振付家への一歩になった。その後は映画や舞台、プロモーションビデオなどさまざまなシーンで振り付けを担当。近年では俳優の役所広司さんらが出演するダイワハウスのCMなども手掛けている。
○…身体と声を使った新たな舞台芸術にも力を入れる。事前に準備する振り付けもあるが、各公演で観客に合わせた即興も織り交ぜるため、同じ公演は二つと存在しない。活動の場は国内にとどまらず、海外にも。「もともとノリがいい音楽が好きだった」というが、10年ほど前からは日本舞踊や能にも挑戦。「和のものはシンプルで良い。日本の美を発信したい」
○…「音楽には一定のビートがあるけど、世の中の流れもビートだと思う」。ビートに乗ることでヒット作を生み出してきた。「世の中で起きていること、求めていることを受け取ると、自然と新しいものが生まれる」と話し、1000本以上の振り付けを考えてきたが、苦労はないという。「考えたら受け取れない。感じることで、ひとつの答えが出る」。自然と身体から湧き出す動きは尽きることがない。