横浜市が市内の市立中学校で導入した配達弁当「ハマ弁」。今年1月からは市内全145校で開始されたが、月間の喫食率は0・9%(速報値)にとどまり、低迷が続く。市は昼食の選択肢としてハマ弁の利用を促すが、保護者からは依然として完全給食を求める声が聞かれる。
文部科学省の調査によると、全国の中学校で2015年5月時点で完全給食を実施しているのは82・6%だった。全国的に完全給食が広がる中、政令指定都市の川崎市も1月から一部の学校で完全給食を導入。校内で調理する「自校方式」と給食センターから運ぶ「センター方式」により、全52校で年内に給食が実施される。政令市で完全給食を導入していないのは横浜市のみになった。
中学校給食を求める市民団体「横浜にも中学校給食があったら『いいね!』の会」では2015年2月から8月に、市内で中学校給食に関するアンケートを実施。3372人から回答を得た結果、給食を望む声は約95%にのぼった。管理栄養士で同会共同代表の一人でもある木村知子さんは「給食は食育を行う上で、生きた教材。食育についてしっかりと理解ができる中学生の時期に給食を食べることに意味がある」と指摘する。同会では今後も署名活動やイベント開催などにより、完全給食の導入に向け運動を続けていくという。
新入生向けに周知強化
一方、ごはんやおかず、汁物や牛乳の単品注文も可能な配達弁当「ハマ弁」は、昨年7月に12校で始まり、今年1月には市内全校実施になった。当初は喫食率20%を見込んでいたが、始まって以来1%前後を推移しており利用が伸び悩んでいる。年度途中での開始も低迷の一つの要因と考えられており、次年度の入学説明会でハマ弁のパンフレットを配布するなど、新入生への周知を強化するという。
共働き家庭で中学1年生の息子を持つ母親(港南区・46)は「試しに注文したかったが、息子に『クラスで自分だけハマ弁は嫌』と断られた」と明かす。同調意識から、ハマ弁を避ける子どもの声もある。
横浜市教育委員会担当者は「中身には自信があるので、いかに知ってもらうかが課題。喫食率を理由に事業を撤退することはない。改善しながら利用者を増やす努力をしていきたい」と話した。
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