外見では障害等があるとわかりにくい人が、周囲に援助や配慮の必要性を知らせる「ヘルプマーク」が、神奈川県で本格導入される。東京都で生まれたこのマークがどのような効果をもたらすか、展望や課題を全3回で取り上げる。
ヘルプマークは免許証程度の大きさ。赤い樹脂製の素材に白い十字とハートが描かれており、バッグなどにつけられる。人工股関節を利用する東京都議が提案し2012年に作られた。内臓機能の障害を指す「内部障害」のある人や義足などを使う人、または妊娠初期の人が主な対象者だ。
都が全国に利用を呼びかけ、これまでに5府県が導入。神奈川県保健福祉局によると、県でも2016年度11月の補正予算で推進事業費を計上し、1万個を製作。今年3月末までに配布開始の予定だ。当事者や保護者から「導入して欲しい」という声が多数寄せられたことも、取り入れた理由のひとつだという。
周知活動に弾み
県の導入に先駆けて普及活動をしてきたのが、横浜市戸塚区在住の福崎哲夫さん(67)だ。福崎さんは13年に半身不随の女性を手助けした際、彼女がつけていたヘルプマークで存在を知った。多くの人に知ってもらう必要性を感じ、活動を開始。6人の仲間と、周囲への呼びかけのほか、街なかの掲示板にポスターを張り付けている。注目してもらえるよう、10日に1度、新たなデザインに作り変えるなど工夫を凝らす。
これまでに掲示板を見たという6人にマークを渡した。中には、大きな音などで混乱する精神障害に悩む人も。後日「マークのおかげで周りの方から気遣ってもらえるようになった」という感謝の連絡があった。
昨年末に地域の福祉イベントで行ったアンケートでは、9割の人に認知されていなかったという。「導入は良いこと。社会に受け入れられるよう、引き続き頑張りたい」 (続く)
神奈川県が今年導入する「ヘルプマーク」について3回にわたり連載します
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