季節の花【7】 蒲焼きと「ガマ」 因幡の白兎に使われた蒲穂 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
古事記の「因幡(いなば)の白兎(しろうさぎ)」は日本昔話でも有名です。
ワニ(諸説あり)に毛皮をはぎ取られた兎に、大国主命が「ガマの穂を塗るとよい」と言われましたが、なぜガマの穂が登場したのでしょうか。
ここでいう「ガマの穂」は、おそらくヒメガマの花粉を指していると思われます。花粉は漢方薬「蒲黄(ホオウ)」として、止血剤に使われているので、昔話とはいえ、的を射ています。
「ガマ」は「かま」を表し、朝鮮語で材料を意味する「かむ」からきています。日本での古名「ミスクサ」と同じで、簾などに使う材料を意味しています。
水辺に生育する多年草で、水辺に適応したつくりを持ち、地下茎、花茎、葉の内部は柔らかいスポンジ状をしており、空気の通りをよくしています。穂と呼ばれる部分は雌花の集まりで、その先にある小さな穂が雄花の集まりです。雌花は熟すと種子をつけた穂綿が、風に吹かれて飛んでいきます。この穂先が矛(ほこ)のように見えることから、「蒲鉾(がまほこ)」と呼ばれ、「かまぼこ」の語源になっています。
今でこそかまぼこは板の上に乗っていますが、昔はちくわと同じように、棒の周りに盛られていたので、ガマの穂にそっくりで「蒲鉾」という字ができました。同様に昔はウナギの「蒲焼き」も、筒切りにし棒に刺して焼いたことからこの名が付きました。ガマは、長浜公園、称名寺、谷津川沿い等で見られます。
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