区内の街路樹【6】 「シダレヤナギ」 幽霊は柳の下に出る 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
歌で有名になった東京の「銀座の柳」は、明治17年に街路樹として植えられた「シダレヤナギ」です。その後ヤナギは挿し木が簡単なので全国的に広まり、街路樹や公園樹として利用されるようになりました。金沢区内でもヤナギの街路樹は柳町で見られます。
シダレヤナギは中国原産の雌雄異株で、古い時代に雄株のみ日本に入ってきたため、全国的にほとんど雄株のみが存在しています。雄株の方が3m以上長く枝垂れ、美しい樹形になるため植えられました。
さて、夏にちなんだ幽霊のお話、幽霊はなぜ柳の下に現れのでしょうか。昔からヤナギは神霊を降臨させる力があるといわれ、「陽」の代表の木となりました。一般に神の依り代となる木は常緑樹で、落葉樹のヤナギは例外。ヤナギはどの木よりも春の芽吹きが早く、「陰」の冬を送り「陽」の春を迎える木であること、挿し木で簡単に増えること、生長が早く生命が旺盛であること等から、美しく枝垂れる姿は神の降臨にふさわしい木と感じたのでしょう。また水辺を好むヤナギは、この世と異界の境の象徴とされ、幸せや霊魂を呼び寄せる力を持っていると思われます。「柳に幽霊」もその一つで、この世は全て陰と陽から成り立ち、陰陽が相整うように、水神の化身である陰の幽霊は、陽の木であるヤナギの下に現れるわけです。
次回は「プラタナス」の予定です。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>