区内の街路樹【7】 「プラタナス」 和名は「篠懸(スズカケ)」と表す 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
「わが馬車の外にある浅緑のプラタンの葉のあかつきの風」。これは与謝野晶子が明治45年にヨーロッパを訪れている時に詠んだ歌です。プラタンとは「プラタナス」のことで、和名「スズカケノキ」の学名です。プラタナスの意味は、ギリシャ語の「広い」「平らな」を表し、大きく平面的な葉をしていることからつけられました。
スズカケノキの名の由来は、山伏が山道を歩くとき、篠竹の露を避けるため、衣の上につける上着「篠懸(すずかけ)衣(い)」に、鈴玉のような飾りがついていて、その飾りがスズカケノキの果実(または花)に見立ててつけられました。よって漢字で表す場合は、「鈴懸」ではなく「篠懸」が正しくなります。
原産地は地中海沿岸から東南アジアにかけて分布する「スズカケノキ」と、アメリカ原産の「アメリカスズカケノキ」があり、この両者の雑種が「モミジバスズカケノキ」です。日本の街路樹のプラタナスは、大部分がこのモミジバスズカケノキで、明治末に渡来しました。新宿御苑のプラタナス(モミジバスズカケノキ)並木は、フランス人の専門家に依頼してつくられた日本最初の並木です。
ヨーロッパでは古くから栽培され、古代ギリシャのアテネには長い並木道があり、哲学者たちがその木陰で哲学などを説いたため、天才の象徴とされ、花言葉が「天才」となりました。
次回は「ヒガンバナ」の予定です。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>