11月9日、10年以上前から周辺住民を悩ませてきた区内ごみ屋敷の家主による自主撤去が完了した。作業に費やした期間は約2週間。10人の作業員が総重量約40tのごみを撤去した。
60代男性が所有する区内の家屋に対して、近隣住民から金沢区役所に苦情が寄せられ始めたのは2009年ごろから。区役所はその都度、敷地からはみ出たごみに対応していたものの、根本的な解決には至らず、実態の把握もままならなかったという。
事態が動き始めたのは今年7月。ごみ屋敷2階のベランダからはみ出し積み重なったごみが、崩れ落ちた。落ちたごみは、隣家の物置の屋根を傷め、庭に散乱。困った隣人が区役所に相談した。
区総務課の栗原敏也課長は、金沢警察署の協力を得て住所不定の家主を呼び出し、ごみの片付けを説得。家主の了解を得て、区役所職員約20人で隣家に散乱したごみを回収した。
このことがきっかけとなり、はりがみで時間と場所を指定すると、家主はきちんと面会に応じるように。週1〜2日の面会には、出来る限り福祉保健課の飛田千絵課長も同席し、ごみの片付けを説得するとともに、福祉的なアプローチも続けた。「最初は会話もままならなかったが、徐々に話ができる状態に。最終的には異例となる自主撤去に応じてくれた」と飛田課長は話す。
家主と回収業者の契約が行われた10月24日の翌日から撤去を開始。栗原課長は「一日でも早く片付けてほしいと願う周辺住民の期待に応えたかった。各部署や警察、地域の方が一体となり、”チーム金沢”で対応したことが功を奏した」と振り返る。
「終わりではない」
「撤去は完了したが、これで終わりだとは思っていない」と栗原課長。問題の家は依然、電気、水道、ガスは止まったまま。傷みがひどく家屋倒壊の危険性も無視できない。区役所は再びごみを持ち込まないための指導など、現在も週1回ペースで面会を続けている。「今後も継続的にサポートしていく」としている。
横浜市は今年度から本格的にごみ屋敷対策に着手。家が「ごみ屋敷化」する要因は様々で、加齢による身体機能の低下や認知症などに起因する場合も。市は福祉士的な支援に重点を置き、取り組みを進めている。
12月1日からはごみ屋敷条例を施行される。ごみ屋敷当事者に指導、勧告をし、最終的にごみを撤去できる行政代執行を規定する。現在、市内には60棟のごみ屋敷があるという。
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