地域に伝わる民話や民謡を題材に作曲し、吹奏楽部の生徒と演奏している金沢総合高校教諭の山崎栄一さん(59)の新作が誕生した。曲名は「たたら・黎明の響き〜上郷深田遺跡からのインベンション」。12月17日(土)に川崎市で行われるコンサートに向け、部員と練習に励んでいる。
「横須賀市の秋谷・子安地方にある”たたらつき唄”。この辺りにたたら場があったのかずっと気になっていた」と山崎さんは話す。そんな時に「今の栄区に製鉄場があった」と知ることに。今年9月に部員の植草拓人さん(2年)と訪れた。
6世紀半ばから平安時代にかけ製鉄所として栄えたといわれる「上郷深田遺跡」が眠るのは栄区上郷町。現在は埋め戻され、その上を舞岡・上郷線が通っている。「丘陵が折り重なる山間。この足元に遺跡があると思うとロマンを感じた」と話す。「製鉄が当時の文化を支えていたはず。当時の人をイメージし喜怒哀楽や生活の様子を曲にしたかった」
夜明けから始まる曲。労働の様子を足踏みで表現し、鎌倉時代にたたら師が詠んだ和歌を取り入れるなど工夫を施した。天平文化の響きを復元した音律で、奈良時代へと聴衆を誘う。植草さんは「たたらつき唄の部分が好き。今、私たちが立つ下には昔の人々の生活があったことを、演奏を通して伝えたい」と話す。
1997年から作曲を始め、これまでに21作品を手がけた山崎さん。「地元の文化や歴史を知る機会になれば。命のつながりで今があることを伝えたい」と願う。コンサートは当日券の販売も。(問)【電話】045・773・6810(山崎さん)
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