金沢区富岡東に手作り石けんの店舗兼工房「エレナフローラ」を開設して約3年。店主の堺谷美知さん(55)は、石けんの製造から販売、百貨店の出展、オンライン販売などをほぼ1人でこなす。合成の界面活性剤・保存料・着色料などの添加物を使わずに材料を厳選し、「コールドプロセス製法」で作り上げた石けんはまるで菓子のよう。店内には石けんに使ったアロマがふわりと香る。
百貨店出展やOEM受注が少しずつ増えてきた今でも、工房の住居スペースに泊まる日々が続き「毎日が必死」と笑う。「周りに応援してもらってここまできた。早く安心してもらいたい」と謙虚に話す。
娘のために独学で
堺谷さんが石けんを作り始めたのは38歳ごろ。肌の弱かった小学生の娘のために、本から独学で学んだ。当時は会社員で、ただただ好きで作り続け、「仕事にしようとは全く考えてなかった」という。薬事法で石けんは化粧品にあたり、正しく製造販売するには資格が必要となる。「採算をとるのは無理」というのが、手作り石けんをつくる人の通説だった。
しかし、大阪に化粧品製造責任者の資格が取得できる専門学校があると知り、挑戦したい気持ちがむくむくと湧いた。
最年長の専門学校生
学校の近くに夫が単身赴任していたマンションがあったことや、大阪で仕事が見つかったことも背中を押した。「何のため?今やること?」と夫や友人に言われたものの、「2年後に工房をスタートさせる」を目標に、走り始めた。
土日に学校へ行く社会人コースのクラスメイトは、食品関係や化粧品関係の開発者が多く、50歳だった堺谷さんはその中でも最年長。苦手の化学や物理に取り組んだ。クラスメイトがいつかはお客さんになるかもしれない――。「いいかげんな姿は見せられないと必死だった」と振り返る。そんな思いを抱えてした努力は人一倍。当初は冷やかに見ていた夫も、試験前に朝方まで玄関にちゃぶ台を置き勉強する姿に、いつしか応援してくれるようになった。
ノンストップで前進
今でも、一切の妥協をせずに走り続ける堺谷さん。「いつか県の一流ホテルや施設のオリジナル石けんが作れれば」と思いを語る。他社ブランドの製品を作るOEMはまとまった売り上げが見込めるため、製品の質を高めるためにも不可欠だとも。石けんへの情熱を燃やし続ける。
■エレナフローラ(金沢区富岡東2の5の30)。営業日は【URL】http://elenaflora.com/で確認を。
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