横浜市立大学医学部(金沢区福浦)の山中竹春教授らは8月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の回復者を対象に、抗体測定の意義を明らかにする調査を開始した。回復者対象の大規模で長期の追跡調査は日本初。得られた結果から、国産抗体検査キットの普及やワクチン開発に貢献することが期待される。
再感染防げるか
新型コロナウイルスに感染すると産出される抗体に関しては、様々な報道があるものの、未だ「その抗体が長期間残るのか」「残った抗体が再感染を防ぐ働きをするものなのか」などが明らかにされていない。
この調査では、過去に新型コロナに感染した20歳以上の男女を対象に、PCR検査で陽性と判定された日からおよそ半年後と1年後にそれぞれごく微量の血液を採取。抗体の有無や、ウイルス感染阻止能力を測る。協力者には検査結果を無償で提供する。3、400人規模の実施を目指す。
7月29日に行われた記者会見では、今年4月に感染したフリーアナウンサーの赤江珠緒さんも出席。「この病は生活様式を変えてしまうくらい大きな病。検査に協力することで、未知なるウイルスの輪郭を少しでも捉えられたら」と話した。また、この調査にはプロ野球元阪神タイガースの片岡篤史さんも協力を表明している。
8月から調査を開始し、結果は随時報告していく方針で、早ければ9月に最初の調査結果が出るという。山中教授は「全国で初めての大規模な抗体検査で、未来の患者にも還元できるもの。できる限り多くの人にご協力いただきたい」と呼びかけている。
協力の申し込みはコールセンター【フリーダイヤル】0120・299・300へ。検査の詳細は特設サイト【URL】https://covid19-kaifuku.jpで確認を。
高精度の検査法
研究には同大学の梁明秀教授のラボが独自技術によって開発した検査を使用。抗体検査は精度が高く短期間で大量な検査が可能に。また、従来は検査が難しいとされていた、再感染を阻止することが期待できる中和抗体についても測定する。梁教授は「ウイルスの専門家と臨床統計学の専門家が力を合わせて研究をデザインし分析しすることが大切」と話した。
感染から長期間がたっても中和抗体を持つ人の割合が分かれば、多くの人が免疫を持つことで感染拡大を抑える集団免疫が成立する可能性を評価できる。また、ワクチン開発にも役立つという。
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