横浜市立大学(金沢区福浦)の研究グループは12月2日、新型コロナウイルス感染症回復者の98%が半年後もウイルス抗体を保有していることが分ったと発表した。山中竹春教授は記者会見で「予防ワクチンの開発にも一定の期待が持てる」と言及した。
同グループは抗体検査プロジェクトを7月下旬に立ち上げ。日本最大規模となる新型コロナ回復者619人の協力を得て、感染6カ月後の血液を採取した。今回は中間結果として、検体測定が完了し解析した376人分のデータを発表した。症状別の内訳は無症状4%、軽症71%、中等症19%、重症6%。
この結果、ほとんどの回復者が抗ウイルス抗体と中和抗体を保有していることが判明した。中和抗体の保有率は、無症状や軽症の人は97%、中等症と重症の人は100%だった。また、重症度が高い人ほど、中和抗体の活性がより強い傾向にあり、感染を防ぐ能力が高いと推察できる。
中和抗体とは、ウイルスの働きを中和し、再感染を阻止するもの。一般にこの抗体があると、再感染のリスクが低くなるとされる。
これまで新型コロナ回復者の抗体に関しては海外から「中和抗体の活性が非常に低い感染者がいる」「抗ウイルス抗体が早期に消失する」などの報告があった。こうした報告について、山中教授は「検体数が小規模」「検査の精度が不明」などの課題を指摘したうえで、同研究には同大学の梁明秀教授(微生物学)らが開発した精度の高い抗ウイルス抗体検出技術ならびに中和抗体検出技術を用いたと説明した。
今後は残りのデータの解析に加え、1年後の状況も調査する予定。
ワクチン開発に期待
山中教授はワクチン開発についても触れ、自然感染による免疫とワクチンによる免疫は必ずしも同一ではないとしたうえで、「一定の期間、抗体が保持されることが分ったことは、ワクチン開発にも一定の期待が持てる」と話した。
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