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横市大生藤戸さん 広島で地ビール造り 被災古民家を醸造所に

社会

公開:2021年5月20日

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ラベルの原画を背にする藤戸さん(左)と西原さん
ラベルの原画を背にする藤戸さん(左)と西原さん

 横浜市立大学の4年生の藤戸淳平さん(24/金沢区柴町在住)が、広島県呉市の市原(いちばら)地区で同県在住の西原総司さん(21)と醸造所と地ビールづくりに挑戦している。場所は2018年6月に西日本豪雨で被災した古民家。資金を集めるため5月28日までクラウドファンディングを実施している。

 藤戸さんと西原さんが「旅するきっかけを作るクラフトビール」をコンセプトに、起業したのは昨年7月。藤戸さんがインターンとして働いていたベトナムでクラフトビールを醸造し、国内で販売していた。しかし、コロナ禍で海外での醸造が困難に。かねてから目標としていた「国内でのビール醸造」に向け、舵を切った。

 西原さんは西日本豪雨の復旧作業を行うボランティアをした経験から、以前から「何か市原のためにできないか」と考えていた。市原地区の世帯数は被災後、20世帯から10世帯に半減。住民らに相談すると、使っていない家屋や土地の提供を申し出てくれたという。醸造所の名前は市原の頭文字をとって、「IB Brewing」に。「自然豊かな村がなくなるのは寂しい。クラフトビールで地域を明るくできれば」と藤戸さんは話す。

 現在は、広島の醸造会社の協力を得て、小麦とひまわりの種を使用したヴァイツエン(白ビール)とリンゴをふんだんに使用したIPA(ペールエール)の試作品づくりを重ね、6月から醸造に入る予定。資金の一部は、クラウドファンディングで集めている(【URL】https://camp-fire.jp/projects/view/404551?list=search_result_projects_popular)。11月には醸造所を完成させ、年内に仕込みを開始したい考えだ。

世界一周が原点

 「自分の好きなことで働きたい」と話す藤戸さん。学生でありながら、会社運営に加え、某企業でインターンとしても働く。「一つの仕事だけで食べていくのは面白くない」と3足のわらじを軽やかに履きこなす。

 その経歴も多彩だ。大学2年時に休学し、「すべての始まり」となった世界一周の旅へ。「言葉が通じにくくても、一緒に飲めば互いに打ち解けられる」というビールの魅力に取りつかれた。

 2019年には、再び休学して、ベトナムのクラフトビールを製造・販売するベンチャー企業でインターンに。その経験から「自分でビールを作って販売したい」という思いが芽生えた。

 旅を通して色々な縁をつないできた藤戸さんは、「ビールを通してみんながつながれる場づくりをしていきたい。生まれ育った横浜でも、そういう場がつくれれば」と話す。世界を視野に、ビールの旅は続く。
 

ひまわりの種の入った白ビール
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