新型コロナウイルス感染症の感染を防ぐ「中和抗体」はどのくらいの期間持続するのか――。横浜市立大学=金沢区福浦=の山中竹春教授(臨床統計学)らの研究グループは5月20日、新型コロナから回復した人の97%が、感染から1年経過しても、抗ウイルス抗体と中和抗体を保有していることを発表した。
中和抗体は、ウイルスに感染したりワクチンを接種すると、体内に作られる。一般にこの抗体があると再感染のリスクが低くなるとされる。
同研究チームは昨年8月から「新型コロナウイルス感染症回復者専用抗体検査PROJECT」を実施している。昨年12月には回復者の多くが中和抗体を保有していることを報告した。
250人のデータ解析
今回は感染から1年が経過した回復者250人から採血し、データを解析した。抗ウイルス抗体と中和抗体を保有していたのは全体で97%で、無症状や軽症の人は96%、中等症と重症の人は100%だった。抗体の量は、いずれも6カ月後よりも緩やかな減少傾向であるものの、依然として多くの人が検出可能な量を保有していることを確認した。同研究チームは、軽症や無症状者の抗体保有率が下がるのは、感染した時にできる抗体の量が少ないためと考え、再感染のリスクが高い可能性を指摘する。
変異株は低下傾向
さらに、拡大傾向にある変異株についても調査。中等症と重症だった人は中和抗体を9割以上が保有していたものの、無症状・軽症者は、従来株に比べて低下傾向にあることが判明した。具体的には英国株79%、ブラジル株76%、南アフリカ株69%、インド株69%だった。
同研究チームは今後、変異株の種類のさらなる増加も予想されると指摘。新たな変異株の中和抗体保有の状況を集団レベルで速やかに調べることが必要と訴えた。
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