横浜市の季刊誌「横濱」が4月5日発売の76号で休刊となった。市とともに編集を行う事業者が昨年度で撤退し、新しい事業者が見つからなかったため。関係者からは「『横濱』は貴重な資料で、休刊は残念」と惜しむ声が聞かれる。
「横濱」は2003年6月に創刊された。テーマを設け、歴史や地域、文化の魅力を紹介する雑誌として、年4回発行。05年からは市から編集・制作業務を受託した神奈川新聞社が市と協働で編集し、地域に詳しいライターらが執筆していた。
創刊当初は400円、19年10月の66号からは630円で書店や区役所売店などで販売。多い時には1万5千部、この2年半は9千部を発行。市によると、「地図」をテーマにした15年、17年の号はともに1万部以上を売り上げ、ほぼ完売。一方、スポーツをテーマにした12年の号は販売率が約3割にとどまるなど、内容によって差があり、通算の販売率は約7割だった。
同社が市に提出した21年度の見積書によると、年間の発行経費は約1826万円。市が同社に支払う約895万円の「制作負担金」と雑誌の販売収入、誌面の広告費でそれを賄ってきた。
市は毎年、事業者から提案を募り協働編集者を選んでいたが、同社から22年度は参画できない意向が示された。76号に掲載された「休刊のお知らせ」ではデジタル化の進展による販売環境の悪化や発行経費の上昇などを要因に挙げている。
「記録の意義 認識を」
「横濱」で市民活動などを紹介する連載「横浜の底力」を執筆していた金沢区在住の作家・山崎洋子さんは「『横濱』は横浜が歩んできた歴史を知る上で貴重な資料であり、財産だった。移り変わる歴史や市民のさまざまな動きを記録することは重要で、市はその意義を認識してほしい」と再発行を強く願っている。
市は「コンセプトや発行回数などを見直し、内容をリニューアルする」としており、発行体制を検討し、事業者を募集した上で、年度内には冊子を発行したい意向だ。
休刊前最後の号は鉄道開業150周年を受け、鉄道の歴史を振り返る内容が中心になっている。
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