横浜市立大学大学院データサイエンス研究科の金子惇講師らの研究グループは、横浜市内高齢者の医療・介護サービスの利用状況を調査した。市医療局と連携し市のレセプトデータを活用して75歳―89歳と90歳以上で受療行動を比較した結果、異なる利用状況が明からになった。
調査対象者は75歳以上の市内在住の45万4366人。診療所外来受診、病院外来受診、救急室受診、病院入院、訪問診療、介護サービス利用などについて、1000人当たり・1カ月当たりに換算した人数を比較した。
75歳-89歳と90歳以上の超高齢者で比較すると、診療所外来受診は75歳―89歳は622人に対し超高齢者は570人、病院外来受診は300人に対し263人、救急室受診は10人に対し27人、病院入院は45人に対し96人だった。診療所と病院の受診は75歳―89歳が多かったが、救急室受診や病院入院は90歳が上回る結果となった。金子講師は「一口に高齢者と言っても一様な集団ではない。(超高齢者とそれ以外の高齢者の比較は)、高齢者の医療政策を策定したり評価したりする上で、有意義なデータになると考えた」と話す。
調査では、生活保護受給者とそうでない人の比較も実施。生活保護受給者は診療所外来の受診が少ない一方、病院外来受診・救急室受診、入院などが多い結果となった。
また、2050年に予測される人口構成を用いて医療・介護サービスの利用者数も予測。現在と比較して訪問診療と通所介護サービスの利用は約1・4倍、居宅介護サービスは約1・2倍となる予測も公表した。
医師でもある金子講師は離島の診療所に3年間、勤めた経験からも、「診療所がプライマリーケアの役割をしっかり果たすことで、病院の負担を減らすことができる」と話す。今回、医療・介護サービスの需要の現状をそれぞれ客観的な数字で示したことは、必要な医療・介護サービス体制の構築に役立つ可能性を示している。「世界に先駆け日本の状況を調査することは、他国の高齢者医療政策にとっても有意義だと思う」と話した。
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