市民がイベントや事業の案内を目的にチラシを貼るために横浜市が設けている「公共掲示板」。市はインターネットなどの広報方法が多様化したことで掲示板の役割は終えたと判断し、2024年度までに磯子区に残る3カ所を含む全ての掲示板を撤去する予定だ。30年前に市内に160カ所以上あった掲示板は、設置開始から約50年で姿を消すことになる。
公共掲示板は「まちの広告板」の名前で、市内の駅の近くやスーパーのそばに設置。掲示できるのは縦60cm×横42cm以内のもので、1回につき10日以内などの利用規約がある。自治会町内会が管理している掲示板とは異なり、利用者がその場で掲示することができる。
市都市整備局景観調整課によると、1973年の屋外広告物法の一部改正によって、貼り紙や立て看板といった広告物の即時除去が可能になったことから、その代替手段として75年に公共掲示板の設置を始めた。93年度まで新設を続け、最も多い時には市内に165カ所あったという。
ネット普及を理由に
しかし、インターネットの普及やフリーペーパーが広まったことを受け、市は「広報媒体の多様化など、代替手段の確保が容易になった」として、2014年度に公共掲示板を全て撤去する方針を決めた。以降、徐々に撤去を進めている。
市内では1月中に8カ所の掲示板を撤去。現在残るのは市内11区に24カ所となった。磯子区では磯子駅歩道橋下(スーパースズキヤ前)、根岸駅派出所前、洋光台駅洋光台東急ストア前の3カ所。金沢区内では21年2月頃に最後の一つが撤去され、すでになくなっている。
市は残りの掲示板も24年度までに撤去する予定。市によると、設置方法などによって異なるが、掲示板1基あたりの撤去費用は約30万円だという。掲示板は市の委託業者が巡回して状況を確認し、板面部分の劣化が確認されれば、補修などを行ってきたという。
市は掲示板を撤去する際に近隣の自治会町内会に希望を聞き、広報目的で利用することを望む場合は、無償で譲渡するようにしている。洋光台駅前で掲示板を利用してきた女性は「10日間自分で貼れるので使ってきた。なくなってしまうのは仕方ないが、ある限りは使っていく」と話した。
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