金沢区は誰でも避難所を開設できるように、区独自の「金沢区版避難所開設キット」を新たに作成した。区内の地域防災拠点26カ所へ、1月9日から順次配布。区担当者は「いざという時に備えて、開設キットの内容を確認し、避難訓練などで活用を」と呼び掛けている。
横浜市は市域で1カ所でも震度5強以上が観測された場合、指定避難所(地域防災拠点)を開設すると定めている。運営を担うのは、地域住民らで構成される「地域防災拠点運営委員会」。発災後3時間を目安に、開設を完了することになっている。
各拠点には市が作成した「開設・運営マニュアル」があるが、91ページの量があり「分厚くて使いづらい」といった声が以前からあった。また、地区によってはコロナ禍でここ数年拠点開設の訓練ができていない状況や、運営委員が毎年変わる場合もあり、発災時は開設方法をよく知った委員が拠点に参集できるとも限らない。そこで、運営委員の経験が浅い人でも開設できるように、今回の開設キットを作成することになった。
視覚的に工夫
キットは幅42cm、奥行き37・5cm、高さ33cmのプラスチックの収納ボックスの中に、【1】開設準備【2】区割り【3】受付の設置【4】トイレの準備【5】開設報告【6】ペット対策【7】体制づくり・ルールづくりの手順ごとにケースに分けて収納。1から順に読んでいくことで、誰でも避難所の開設手順が分かるような内容となっている。
市内では、すでに磯子区や中区で区独自に用意した同様の開設キットがある。金沢区のキットは、高齢化が進む状況を考慮して視覚的に工夫を凝らしたのが特徴。誰でも分かりやすいように色や文字の書体にユニバーサルデザインを取り入れ、7つの手順ごとに色を分けた。
また、トイレの設置など重要な項目には、文字だけでなく、フローチャートをつくった。さらに、市のマニュアルでは開設の初動では含まれていない「ペット対策」も、避難所ではトラブルになることが多いために盛り込んだ。
開設キットは、区全体の共通項目として作成。拠点に応じて加筆修正ができるように各運営委員に開設キットのデータも配布している。金沢区の担当者は「各拠点で考え、理解を深めるきっかけにしてほしい」。キットは区内26の地域防災拠点にある防災備蓄庫に、1月中に配布される。
開設後も想定を
磯子区では先行して、2019年度に地域防災拠点開設のためのキットを作り、区内21カ所の地域防災拠点に設置した。避難所開設手順をまとめた「開設編」の作成後、翌20年度には開設から数日後を想定した「運営編」も用意。避難所の体制やルール作り、救援物資の要請・管理などの方法を記している。
さらに各地域防災拠点には、女性対応として生理用品などをまとめた独自のキットも準備。区内のある自治会の担当者は「開設・運営キットなどは、拠点開設の初動時に必須。今後も活用して備えていく」と話した。
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