横浜市内で2023年中に食中毒を発症した人数が、前年比4倍を超える大幅増だったことが分かった。1月12日発表の市の速報値によると23年は475人で、近年最多だった16年の695人に次ぐ水準。市は昨年度からSNSなどを通じた予防啓発を強化しており、意識のさらなる向上を呼び掛けている。
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市の集計によると16年以降、市内での食中毒発症者数は減少傾向が続いていた。20年には93人にまで減り、44年ぶりに100人を下回っていた。
ただ、21年には236人の発症を確認。22年には118人と前年から半減したものの、昨年は475人(集計は今年1月4日時点)と大幅な増加となった。
患者数が急拡大した背景について市の担当者は、一般家庭での発症のほか「大勢が集団生活をしている施設で食中毒が発生してしまったため」と話している。市によると昨年12月、港南区内にある横浜刑務所内で285人が腹痛などの食中毒症状を発症していた。
検査の結果、複数の患者から食中毒の原因となるウエルシュ菌が検出された。施設内で提供された料理にこの菌が多く含まれていたものとみられており、市保健所は同月25日、横浜刑務所内の調理施設に対し給食の調理業務禁止処分を行った。
ただ、同刑務所の事案を除いても23年の発症者数は190人と、前年を70人以上上回っていた。
映画館で啓発動画放映も
市民の食品衛生意識向上を目指し、市内の各福祉保健センターと各区食品衛生協会では昨年7月から11月に掛け、市内各地で予防キャンペーンを実施。クイズ形式で楽しみながら食品衛生について学べるイベントやパネル展示などを通じ、食中毒予防を呼び掛けた。
また「食中毒ゼロ」を目指す市は昨年度、若い世代にも関心を高めてもらいたいと啓発動画を作成。YouTubeで配信したほか、8月には中区内の映画館「横浜ブルク13」でも動画をCMとして発信した。X(旧ツイッター)などのSNSでの啓発も強化し、市食品衛生課は「来年度も予算を確保できれば、動画などによる啓発活動を続けたい」としている。
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