障害の影響で一般的な歯科医院では対応が難しい人の治療を担う「横浜市歯科保健医療センター」=中区=の年間受診者数がここ数年、延べ9千人を超える状態が続いている。現場で治療にあたる医師は「ニーズが上回っている状態で限界に近い。専門知識を持つ人材の育成と、新たなセンターの開設へ向けた動きを同時に進める必要性を感じている」と話す。
「障害者歯科診療」を担う同センターは(一社)横浜市歯科医師会が運営している。知的、精神、身体の障害のある人が安全に治療を受けられるための設備が整えられ、「激しい体動があり、治療器具が口腔内を傷付けてしまったり、飲み込んでしまうようなリスクがある」「治療台に座っていられない」など、一次医療機関となるかかりつけ医が「治療が難しい」と判断した患者を二次医療機関となる同センターにつなぐ仕組みとなっている。
市内に1カ所
現在、センターでは障害者診療に精通する歯科医師3人、歯科衛生士7人が治療に当たっている。横浜市内における二次医療機関は同所のみで、全ての患者ニーズを一手に引き受けている状態だ。
昨年は延べ9320人がセンターで治療を受けた。コロナ禍で一時的に受診者数は減少したものの、ここ数年、9千人を超える数字で推移。同センターで最前線に立ち障害者の歯科診療・治療にあたる鈴木將之診療部長は「対応は限界に近い状態。ニーズがまだまだ眠っていることは確かだが、現況の体制では限界に近い」と話す。
体動などを制御し治療を施すために全身麻酔下で治療が行われる場合もあるが、現状、4カ月後の受診となるなど、対策が急がれる。
歯科医師会の堀元隆司副会長は「横浜市にて実施された障害者歯科保健医療に関する調査に基づき、横浜市歯科保健医療センターのあり方を検討して、ニーズに対応していきたい」と話している。
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