横浜ほっこり純喫茶【2】 赤レンガの洋館「馬車道十番館」で文明開化気分に浸る 本紙記者のひと息時間
どこか懐かしい雰囲気やメニューで、若い世代の注目も集める純喫茶。純喫茶とはアルコールの提供がなく、純粋にコーヒーや軽食を楽しむための空間だ。日々地域を回るタウンニュース記者が、取材の合間に立ち寄り、ほっとひと息ついている純喫茶を紹介する。
開港当時の西洋建築を再現した洋館
今回訪れたのは、JR関内駅北口、市営地下鉄ブルーライン関内駅、みなとみらい線馬車道駅からほど近い「馬車道十番館」。店の入口前にはレトロな電話ボックスや馬車道のシンボル的存在であるガス灯が並び、ここだけ165年前の開港当時にタイムスリップしたかのようだ。
でも、実は馬車道十番館の開館は1970(昭和45)年と、印象よりも新しい。地元の老舗とんかつ店「勝烈庵(かつれつあん)」の10番目の系列店として1967年に洋食の「山手十番館」がオープンし、その3年後に開業したのが馬車道十番館。開港当時の建築様式を参考に、明治の西洋館を再現した。場所はガス事業の創始者、高島嘉右衛門家の跡地で、店のロゴマークにはガス灯が使われている。
ステンドグラスの柔らかな光が降り注ぐ
店内は1階が喫茶室で、2階に英国風酒場、3階はフランス料理店、4・5階には宴会場があり、利用目的ごとに分かれている。喫茶室は、なんといってもアーチ形のステンドグラスが目を引く。3色のガラスを通した光は柔らかく、どこかノスタルジックな気持ちに。ファンが回る吹き抜け天井の下、アンティークな調度品、横浜の風景の絵画や写真が配され、地元愛が感じられる。
他にも大きな柱時計やグラスコレクション、日露戦争当時の欧州航路船「信濃丸」で使用されていた椅子、旧帝蚕倉庫の赤レンガなど、館内には歴史を感じさせる品々がさりげなく配されていて、博物館に来たかのような気分に浸れる。
レンガをイメージしたプリンをアラモードで
ここでのお目当ては「十番館プディング ロワイヤル」と「メロンクリームソーダ」。前者はレンガ型のプリンと色とりどりの季節のフルーツ、2色のアイスクリームがのった、いわゆるプリンアラモードだ。主役のプリンは適度なかたさがあるタイプで、卵の味と上品な甘味が心の疲れをほどいてくれる。添えられたバニラとチョコのアイスクリームと複数のフルーツがプリンのおいしさを際立たせる。
純喫茶の定番、メロンソーダには本物のメロンの果肉を使用。ソーダは自然で程よい甘さのため、バニラアイスクリームとの相性もいい。味の違いが分かる大人にも味わってほしいクリームソーダだ。
■中区常盤町5-67 【電話】045-651-2621(メニュー、価格は取材時のものです)
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