区内送迎保育ステーション 開設半年で廃止へ 利用者低迷で事業見直し
横浜市が待機児童対策として昨年度から始めた市内5つの送迎保育ステーションのうち、今年4月に開設された金沢区の「スターチャイルド 金沢文庫ナーサリー」を含む2施設が廃止されることが決まった。駅から離れた定員割れ保育所の活用策としても期待されたが、利用者が伸び悩んでいることから、見直しを余儀なくされた形だ。
送迎保育ステーション「スターチャイルド 金沢文庫ナーサリー」(谷津町)は今年4月、開設された。3〜5歳児を対象とし、保護者の代わりに指定保育園にバスで送り迎えするサービスを提供。「入所できる保育所が自宅から遠い」「就業時間と保育所の開所時間が合わない」などの事情を持つ保護者の利用を見込んでいた。
だが、開所から半年たった現在でも、送迎利用者はゼロ。こうした現状を受け横浜市は、金沢文庫ナーサリーと同じく利用者がゼロの「スターチャイルド 川和ナーサリー」(都筑区)の2施設のステーション機能を今年度末で廃止することを決めた。
市は昨年度、認可保育所を49園新たに整備したほか、横浜保育室やNPO等を活用した家庭的保育事業で待機児童対策を進めてきた。4月1日現在で区内の待機児童数は5人。市子ども青少年局保育運営課は、利用者低迷の理由を「こうした背景に加え、金沢区は保育所の3歳児の空きが少なく、使いたい人がいても使えない状態にある」と分析する。両施設の運営会社・みつばの西宮裕美子さんは「公共交通機関が発達した横浜には馴染まない制度なのでは」と指摘する。また保護者からは「1日200円(往復)の利用料金が負担」との声も上がったという。
金沢文庫ナーサリーは、来年4月から現在の0〜2歳児の乳児保育所の機能を拡充し、0〜5歳児までの保育所として再出発をきる。約60平方メートル増床し、設備も一新するという。
10月6日には、金沢文庫ナーサリーで保護者説明会を開催。参加した保護者からは「3歳になっても転園することなくここに通えるのは、逆によかった」など、方針転換を歓迎する声が多く聞かれたという。西宮さんは「保育士にとっても卒園まで間近で成長がみられるのは嬉しいこと。これからも地域に根ざした保育所を目指す」と話した。
一方で、旭区(2カ所)と戸塚区の計3施設は現行のまま継続される。現在、施設利用者は3施設で計20人。市は利用状況を分析しつつ、地域特性に合った事業への転換を検討していく考えだ。
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