薬効が大きい万能薬 恐ろしい別名を持つ「キランソウ」 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
日当たりのよい野原や土手などに可愛い紫色の小さな花、「キランソウ」が地面にへばり付いて咲いています。「キ」は紫の古語、「ラン」は藍色のことで、花の「紫藍色」が名の由来の一つです。また、葉を地面に広げた様子が、織物の「金襴(きんらん)」に似ているため、「金襴草」ともいいます。
さらに、別名「地獄の釜の蓋(ふた)」とか「医者殺し」とも呼ばれていす。それは茎葉を煎じて飲むと、たいていの病の初期症状は治してしまうことから、放射状に広げた葉の様子を、「地獄の釜の蓋」に見立て、地獄では釜に蓋をして、病人をこの世に追い返えすのだと考えたのです。
中国の漢名は「金瘡(きんそう)小草」といいます。金瘡は刀傷のことで、切り傷、腫れものに効果があるといいます。
花弁をよく見ると、上唇と下唇が口を開けているように咲いています。花の奥に蜜があり、その狭い所を入って蜜にありつくことができるのはハナバチ類だけです。しかも出るときには後ずさりして出ていくことになり、他の虫たちは潜り込むことができません。さらにハナバチは同じ種類の花を区別することができるので、花にとっては受粉が有利になります。まさにキランソウは良きパートナーとしてハナバチを選んだものと感心します。
|
|
<PR>