小田小学校を拠点に総合型地域スポーツクラブを立ち上げる 渡辺 千穂さん 磯子区杉田在住 45歳
試練に「ありがとう」
○…「きっかけ」は東日本大震災だった。「災害に強い街は、地域の”絆”が強い」という話を聞き、何かできないかと考え始めた。たどり着いた答えが「総合型地域スポーツクラブ」。「これならスポーツを通じて、地域のつながりや絆を醸成できると思った」と話す。今年度中の正式立ち上げを目指す。「地域の人々の助けがあったから、これまでやってこられた。少しでも恩返しができれば」と意欲的なまなざしを向ける。
○…娘の出産3日前から突然、夫が家に帰ってこなくなった。夫の両親と同居していたため3カ月後、別居。7歳の息子と生まれたばかりの娘をかかえ、「今だったらやれと言われても絶対無理」というほど生活に追われる日々を過ごした。4日間徹夜して在宅の仕事をしたこともあるという。「精神的に不安定で、毎日泣いていた。おっぱいあげながらも、涙がぽろぽろ出てきた」。今だから笑って言えるとつぶやく。
○…そんな時、支えになったのは、小学生から実業団まで続けたバスケットボールだった。経験を生かし地域のミニバスチームを指導していたことが、いい気分転換になったという。「バスケを教えている時だけ、自分の境遇を忘れられた。子どもたちにエネルギーをもらっていた」。平均睡眠時間は3、4時間。だが、「辞める」という選択肢はなかった。むしろバスケをやれる職を選び、転々とした。また当時住んでいた並木団地の人々も温かかった。「子どものご飯やお風呂など、すごく助けてもらった」と振り返る。
○…「スポーツをやってきた人は、うまくいかない時に自分を立て直す力を持っている」ときっぱり。だからこそ小学生のうちにスポーツをしたほうがいいと説く。自身のベースを作ってくれたのは、やはりバスケ。様々な困難にぶちあたってきた経験にも「それで成長させてもらった。試練をくれて”ありがとう”って思う」と笑顔を見せた。
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