季節の花【10】 スカンポと呼ばれた「イタドリ」 名の由来は「痛みを取る」薬草 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
子どもの頃、枝葉を食べて「酸っぱい、スカンポだ!」と、遊んだことがある人も多いでしょう。正式名は「イタドリ」で、同じ仲間の「スイバ」と共に別名「酢模」(スカンポ)と呼ばれ、どちらも口にすると酸味があります。昔から民間薬として、葉を揉んで傷口にあてると、痛みが取れ血も止まるので、この名がつけられました。イタドリは区内で普通に見られます。夏から秋にかけて花が咲くので、日本書紀では「多遅花(たじのはな)」と表現されています。
昔から、春先の若い茎を漬物やてんぷらに利用してきました。ただ、シュウ酸という成分が多く含まれているため、たくさん食べると舌がひりひりしたり、下痢をおこしたりすることがあるので、注意が必要です。
イタドリは生活力が強く、5〜6mにも成長し、根も広く張り、他の植物を駆逐していきます。
明治の頃、土壌の浸食防止や園芸用に、イギリスとアメリカへ導入され、喜ばれましたが、次第に周辺地へ拡大繁殖し、在来種を追い払い、強害草の汚名をつけられました。さらに地下茎による石垣やコンクリートを突き破り=写真下=、電車のレールを押し上げ、堤防の破壊等外国で大暴れしています。しかも除草剤にも強く、地下茎で繁殖するので手に負えません。
痛みを取ってくれるはずのイタドリに、人は痛い目にあわされています。
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