金子さんの草花の不思議発見!第23回 ハナゾノツクバネウツギ 葉のつき方は対生の中に輪生もある 文・日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(金沢区富岡西在住)
庭木や公園樹としてよく知られている「ハナゾノツクバネウツギ」(写真右)は、葉が対生ですがよく見ると、3輪生、4輪生、時には5、6輪生の葉があります(写真左)。これらの輪生状の葉をつけている枝は、ほとんど徒長枝(とちょうし)といって飛び出した枝であり、対生状の枝は葉が上下に90度ずつずれた十字状対生になっています。
なぜこのような現象が生じるのでしょう。植物の中には刈込を強く剪定すると、時々祖先時の形状が現れるという一種の「祖先返り」の現象が出ることがあります。ハナゾノツクバネウツギの祖先の葉は、対生ではなく輪生状の葉のみで、その後長い年月を経て少しずつ進化していき、輪生から対生へと変わっていきました。祖先返り現象は、他にもコクサギ、ヒイラギ、サルスベリ、イチョウ等でも見ることができます。
ハナゾノツクバネウツギは、中国原産のシナツクバネウツギから交雑された園芸種で、「アベリア」と呼ばれています。アベリアとは、ツクバネウツギの仲間の属名です。大正時代日本に導入され、花期が5〜11月と長い花です。和名は開花後残った赤色で5弁状の萼片が、羽根つきの「つくばね」に似ているためです(写真右)。
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