地域ボランティアや介護に携わる人を対象にした回想法基礎講座が1月19日、金沢区町屋町の安立寺で開かれた。回想法とは高齢者が昔の思い出を語り合うことで脳を活性化させより良く生きる活力を引き出していく心理療法。1960年代にアメリカの精神科医が提唱し、介護予防や認知症患者への活用に効果があるとされている。
講師を務めるのは神奈川県行政とも連携し回想法を広める「回想法プランニング」の代表で、日本認知症ケア学会の会員でもある高島浩子さん。この日は24人が参加し、回想法の基礎知識や活用法などを学んだ。
「メソッド活用したい」
長年、介護福祉施設で働いてきた高島さんは、「回想法を知ってから認知症の方と話すのが楽になった」と自身の経験を交えて説明。脳の奥底にある記憶を呼び覚ますために、かつての生活道具や玩具を用い、幼い頃や若い頃の記憶から徐々に会話を広げていくことがポイントと話した。さらに、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症となる推定値をあげ、認知症対応のスキルを向上させることが喫緊の課題と指摘した。最後には参加者で回想法を実践するセッションも行われた。20代の参加者は「高齢者の方と話すのは難しいのではと思っていたが、聞き手次第で楽しんでもらうことが出来ると分かった。年代が違うからこそ回想法のメソッドを活用したいと思う」と感想を話した。
主催した回想法金沢山桜の会は、地域の認知症予防のため回想法を用いた「思い出を語る会」を定期的に開催している。介護福祉士としても活動する代表の後藤利枝さんは、「講座を通じて1人でも多くの担い手を育成し、回想法を広めたい」と話していた。
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