書籍をイラストや文字で紹介する「POP(ポップ)」。中身が気になり思わず手に取ると、まんまと書店から抜け出せなくなってしまう。そのポップで栄えある賞を受賞した人が磯子区の住吉書房新杉田店にいると聞き、訪ねてみた。
ベストPOP賞に
らびすた新杉田2階にある同店に入ると、リアルな絵が印象的なポップの数々が目に飛び込んでくる。店内に展示されている約60枚ものポップを手掛けているのが、同店店員の千葉修也さん。中でもひときわ目を引くのが絵本『ケチャップマン』のポップだ。同作は、2024年上半期の児童書部門ベストセラー『大ピンチずかん2』の鈴木のりたけさんのデビュー作としても知られている。
ケチャップの形をした主人公が毎日悩みながら自分探しをしていくちょっぴりシリアスな内容を「パッと見て目に飛び込んでくるように原色を使ったり、太く立体的な文字にした」とこだわったポイントを話す。
この作品が、児童書を愛し、出版界を盛り上げている書店を応援するためにブロンズ新社=東京都=が開催している「第12回ブロンズ新社書店大賞」の「ベストPOP賞」を受賞したのだ。
地域で書店の減少が進む中、少しでも本が話題になればと、同店では作成したポップを毎回SNSにあげている。投稿からは並々ならぬポップへの熱意がうかがえる。
なぜそんなに絵が上手いのかと思い経歴を聞くと、学生時代に漫画のイラストに惹かれ、日本工学院専門学校のマンガ・アニメーション科に通っていたそう。普段趣味でも絵を描き、店員の間では「ポップといえば千葉さん」という立ち位置だという。以前勤めていた店舗では、棚を丸ごと使い飾り付けのすごさや完成度を競うコンクールでの受賞歴も。
千葉さんは「賞をもらえるとはみじんも思っていなかった。多くの人に興味を持ってもらえたら」と話した。
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