横浜創学館軟式野球部 21年ぶり関東準V 飛躍の裏に「女子主将」
11月8日から4日間、茨城県で行われた第54回秋季関東高等学校軟式野球大会で、横浜創学館高校(六浦東)が21年ぶり2度目の準優勝に輝いた。創部以来初の女子部員、寺島彩未主将(2年)を含む16人の少数精鋭チーム。惜敗を喫した慶応義塾高校(港北区)打倒を掲げ、来春に向けて再スタートを切った。
10月13日の県大会決勝に続き、慶応相手に2度目の頂上決戦となった11日の関東決勝。0―0で迎えた延長13回裏、二死満塁で山田将矢投手(2年)の甘く入った変化球を慶応打線が見逃さなかった。打球は右翼前へ。「力が抜けるようだった」。サヨナラの走者が生還すると、めったに感情を表に出さないエースがマウンドで泣き崩れた。
21校のうち上位2校が関東出場の切符を手にする県大会では、慶応に1―6で完敗。関東決勝での再戦にチームは気運を高めたが、リベンジは果たせなかった。
全国行きにつながる来夏を見越し、初日から4日連続で完投した山田投手。「1日ごとに調子は上がっていて、自信はあった」と確かな手応えを口にした。
関東4試合で失点は全て1点以下。「夏以降、フリーバッティングをやめて守備練習を徹底した」と小川領平監督(31)。練習の成果と分析する。山本竜哉主将(2年)は「技術はまだまだ。チーム力でここまで勝ち上がれた」と振り返る。逆転されてもチームを盛り上げ、全員が攻め勝つ気持ちを失わない。接戦を制してきたことで自信をつけた。
背番号のない主将
準優勝を陰で支えた、もう一人の主将がいる。唯一の女子選手、寺島主将だ。女子部員の寺島主将は公式戦に出場できない。関東でも記録員としてベンチ入りした。「下手だから試合に出られないと考えている」ときっぱり。「女子だから」という甘えは一切ない。
兄の影響で小学3年の時に始めた野球。中学2年で同部に体験入部。その雰囲気や、男女分け隔てない態度に惹かれた。「自分の頑張る姿がみんなの刺激になれば」と入部を決意した。
練習内容は男子部員と変わらない。大声を出し率先してチームの仕事をこなす。 野球への一途な姿勢が評価され、主将に抜擢されたのは新チームで迎えた今年8月。「今は山本(主将)に頼りきり」と謙遜するが、山田投手は「視野が広くて気配りができる。欠かせない存在」と信頼を寄せる。関東のベンチから飛ばした指示も、ナインはしっかり受け止めている。「選手を続けようか悩んだ時、一緒にやろうと声をかけてくれた。今があるのはみんなのおかげ」。支えてくれる仲間に、感謝の気持ちを忘れない。「次は慶応のくじを引いて1回戦で倒したい」。来春を見据え、練習を重ねる。
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