金子さんの草花の不思議発見!第20回 クリ イガあるクリ、イガないドングリ 文・日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(金沢区富岡西在住)
「行く秋や手を広げたる栗のいが」(芭蕉)
「クリ」に棘を持つ「イガ」(写真右上)があるのは、動物に食べられないための戦略の一つですが、同じ仲間のドングリにはイガがないのはどうしてでしょう。一般にドングリの仲間には、「タンニン」という成分が含まれているため、そのまま食べると渋みが強くて食べられません。これも動物からの食害防止の一つになります。しかしクリにはタンニンがほとんど含まれていないので、動物の食害防止として、全体を鋭い刺を持つイガで保護しているわけです。このイガは一般にドングリをつつむ、おわん状の帽子とか袴とか呼ばれている殻斗(かくと)(写真左上)と同じものです。
クリの由来は、実の色の「黒味」からきており、草木染にも利用しています。また「栗毛の馬」の栗毛は、クリの皮の赤味の茶色(栗皮色)を指しています。
ではクリ(写真下)は、実でしょうか、種でしょうか。普通は実の中に種があるわけだから、厚い茶色の殻が「実」で、中の食べる部分が「種」になります。種の周りの薄い渋皮は種皮で、イガは総苞になります。日本産の渋皮は剥けにくいが、中国産やヨーロッパ産のクリは渋皮が剝けやすくなっているようです。
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