市内で唯一とされるカヤ葺き屋根を持つ栗木神社(曽根武夫総代)で、屋根のカヤを全面交換する「丸葺き」が、60年ぶりに行われた。改修費用には住民からの寄付が充てられ、足場組みといった作業をボランティアが行うなど、工事は住民一体となって進められた。
60年ぶりとなる丸葺きを行うという話は、1年ほど前からスタートした。
市内唯一とされるカヤ葺き屋根を持つ栗木神社では、約5年ごとに腐った部分のカヤ補充、10年ごとに建物の改修などを行ってきたが、昨年4月から5月にかけての強風で、カヤ葺き屋根がめくれる事態が発生。専門業者に見積もりを依頼したところ、芯の部分から劣化しており、全面的な修理が必要と判断された。
これを受け、神社では、地元の栗木町内会、商栄会、御輿愛好会、くるぎ囃子会とともに修復委員会を組織。今年3月から工事に着手し、神殿、幣殿、拝殿の順に修理を行い、5月中旬、完成した。
費用も住民が支える
工事を行う際に課題となったのは、費用だった。
修復委員会では、町内会約1200世帯から寄付を集める方針を決め、昨年12月全戸に案内状を配布。メンバー全員で手分けし、年明けの1月10日から31日までの21日間、各戸へお願いに回った。集まった金額は当初予測の600万円を大きく超える800万円。全世帯の約8割が協力した。
「年金暮らしのおばあさんも、神社のためにと協力してくれました。お金もですが、神社を守りたいという多くの人たちの気持ちがありがたかった」と、曽根総代は振り返る。
さらに工事が開始されてからも、足場組みや古いカヤの運び出しなどに、多くの地域住民がボランティアとして参加。多くの支えを得て、真新しいカヤ葺き屋根が出来上がった。
曽根総代は「元旦には初詣で1500人の行列ができるほど、この神社は地域から愛されている。これからも地域結束の象徴を守っていきたい」と話した。
磯子区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|