新型コロナウイルスの感染拡大で企業の雇用、就業に大きな影響が懸念される中、障害者雇用の支援に取り組んでいるのが、就労移行支援事業所だ。その一つ、港南区にある「パスセンター上大岡」では不安を抱く利用者や制度の壁と向き合いながら、一人でも雇用に結びつけようと支援策の模索が続いている。
神奈川県の緊急事態宣言が解除されたばかりの6月初め、上大岡西の事務所にはパソコンの画面と向き合う職員の声だけが響いていた。
パスセンター上大岡は、一般社団法人神奈川社会福祉支援パスセンターが運営している就労移行支援事務所。これまでは精神障害者を中心に27人の利用者が通い、6人の職員が支援にあたっていた。感染防止のため、4月下旬から利用者は在宅とし、パソコンやタブレット端末を使ったリモートでの支援に切り替えたという。
職員のひとり、大谷和美さんは「企業の雇用が止まっているのが不安。利用者の中には支援期間がどうなるのかという不安も大きい」と話す。
就職件数、落ち込み
ハローワークを管轄する厚労省神奈川労働局によると、外出自粛や企業の休業要請といった新型コロナウイルスの影響で企業の求人が全体的に減少し、4月の障害者雇用の就職件数は昨年同時期に比べて落ち込んだという。
緩和措置も残る不安
就労移行支援事業所は身体障害や知的障害、精神障害、発達障害、難病などの人を対象に一般企業への就職を支援している。地方自治体から指定を受け、全国に約3300カ所あるという。
本来は利用者が通所し、職業訓練や就職活動の支援、就職後の定着支援を受けることができる。支援期間は1人2年間と定められ、事業所への報酬は定員数や単位数、就労実績などによって決まる。
横浜市では当面の間、在宅による支援を認めるものとし、支援期間は状況によって1年間延長する措置を取った。ただ、施設長の浅岡徹さんは「通常ならひと月1、2人は就職できるが、5月はゼロ。6月も厳しいだろう」と頭を悩ます。
リモートに可能性も
一方、オンラインによるリモートで新しい可能性も見えてきた。パスセンター上大岡では利用者に対し、ネットの環境整備も支援。在宅で会議ができるツール「ZOOM」を活用し始めた。利用者は画面を通じて課題を受け取ったり、会議に参加したりとリモート化が定着してきたという。
浅岡さんらは「能力があってもコミュニケーションに課題があるケースも多い。リモートでそれぞれの新しい役割を見いだせる可能性がある。特性にあわせて職業の幅が広がる」と障害者のリモートワークに期待を寄せる。
オンライン化で職員と会話する機会が増えたり、通所する負担が減ったことで作業に打ち込みやすくなったりするケースが見受けられるという。浅岡さんは「仕事は長く続けられることが大切。コロナの影響で焦って慌てないようにしたい。新しい生活様式が求められる中、障害者の雇用も変わるといい」と話している。
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