読者の皆様は港南区に伝わる民話の数々をご存じだろうか。その中の1つに上永谷が舞台となった「馬を洗った尼将軍」という話がある。
舞台は現在も上永谷駅の付近を流れる馬洗川。上流にある滝つぼが手頃な洗い場となり、旅人たちが馬を洗っていたことから、馬洗川と呼ばれるようになったと伝わっている。そんな由来を持つ川に北条政子が通りかかった時、政子は馬を洗う若武者に亡き頼家や実朝の姿を重ねた。その後、息子たちの供養になればと、周辺の人たちに色々な物を施したそう。
同民話が掲載されている「ふるさと港南の昔ばなし50話」に記載が無い馬洗橋や滝の位置について知るため、港南歴史協議会のメンバーへ尋ねてみた。メンバーは「民話を客観的に証明する記録は残っていない」と返答。滝の位置は断定できず、馬洗橋も「昭和初期上永谷部落」という地図に記載されているが完成時期は定かではないとされている。
歴史上の人物が登場する「馬を洗った尼将軍」。正式な資料が見つかっていないにも関わらず、伝聞を中心に現代まで伝わっていることにはロマンが感じられる。
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