栄区の事故・犯罪状況について語る大窪署長
都市と自然が入り交じり、のどかさを感じる栄区。だが、特殊詐欺、交通事故など、痛ましい事案が発生しているのも事実だ。特に特殊詐欺の２０２３年における被害額は１億円超。今年は10月末時点で約５２００万円と前年より大幅に減っているものの、36件の被害が起きている。
また、交通事故や、最近世間を騒がせる強盗など、不安が多いこの頃。安全に暮らすためには何に気を付ければよいのか、栄警察署の大窪太郎署長に聞いた。
特殊詐欺
―今年は昨年に比べ被害額・件数共に減少傾向にありますが、今年の被害の特徴はありますか？
｢年初は行政機関を語り『キャッシュカードの交換が必要』などと言いながらキャッシュカードをだまし取る預貯金詐欺が多く発生。その後は『医療費の還付金があるためＡＴＭでの操作が必要』とＡＴＭに誘導する還付金詐欺が３月、７月、９月に集中しました。被害が集中する時期に波がありますが、なぜ多い月と少ない月があるのか理由は分かっていません｣
―被害に遭わないためにはどのようにすればよいのでしょうか？
「まずは電話を受けないことが重要。特殊詐欺は固定電話にかかってくることが多いためです。また、犯人は声を録音されることを嫌がるため、留守番電話や迷惑電話防止機能付き電話機にすることも有効です。加えて犯人は国外から電話をかけてくることも多いので国際電話を受け付けないようにする『国際電話不取扱受付センター』への申し込みも検討頂きたいです」
―もしも、電話を取ってしまったら？
「犯人は親族、警察官、家電量販店、区役所職員などに成りすまします。そうした電話には詐欺を疑い、家族や友人、区役所などに相談して下さい。また、半信半疑でも１１０番通報して構いません」
―警察はどのような対策を行っていますか？
「コンビニや金融機関には協力を要請しています。金融機関では多額の現金を引き出す場合に使い道を確認して頂いています。また、コンビニでも電子マネーを購入する人に対し『詐欺ではないですか』との声掛けをしてもらっています。これらの協力により今年10月末時点で、金融機関で８件、コンビニで11件の被害を阻止しました。警察からの要請ですので、区民の皆様にはご理解願います」
交通事故
―交通事故の発生状況は如何でしょうか？
「10月末時点で人身事故発生件数は86件。前年比49件減です。ただ、１月には横断中の高齢者が二輪車にはねられ死亡する事故がありました。死亡事故は約１６００日ぶりでした」
―年末は事故が増える時期ですか？
「年末は交通量が増えるため事故が増加する傾向にあります。また、飲酒の機会も増えるので、飲酒運転に起因する事故も懸念されます」
―事故に遭わないために気を付けることは？
「歩行者は乱横断をしない、反射材を身に着けるなどです。また、高齢者には運転免許の自主返納を促しています。昨年は４００人が返納を行いました」
―自転車や小型モビリティについては？
「自転車のヘルメット装着は啓発に取り組んでいます。また、小型モビリティも含めルール順守をお願いします」
強盗
―青葉区で強盗殺人事件が発生しました。栄区内で不審者などの情報はありますか？
「一連の強盗事件で発生前に不審な業者が訪れていたとの報道がされたことから、『不審な業者』が来たという通報は多数あります。ただ、強盗と訪問業者の関連性が確認されたとの情報はありません」
―一連の強盗事件の特徴とは？
「報道によると闇バイトによる実行犯を募り離合集散を繰り返す『匿名・流動型犯罪グループ』による犯行の可能性が伺われます。素性を隠した中核部分と末端の実行役が分かれている点は特殊詐欺などにも共通しています」
―被害に遭わないためには？
「強盗に限らず住宅侵入犯罪は『入りやすく、見えにくい』場所が狙われやすいとされます。割られにくいガラスなど防犯性能の高い建物部品にすると『入りにくい』状態ができます。さらに防犯性能試験に合格した建物部品は県警のウェブサイトでも公開しています。一方『見えにくい』については、物理的に見通しを確保できない場合もあるので、防犯カメラや暗い場所に照明を設置すると対策になります」
―近隣住民同士や自治会町内会単位でできる対策はありますか？
「警察は自治会町内会に対し、犯罪に関する情報を提供しています。また、地域住民同士のつながりによって、不審者に気付くこともある。そうしたネットワークが地域を守ることにつながります。もし不審者を見つけた場合は警察まで通報をお願いします」
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