港南区芹が谷の黄金苑自治会(山口隆会長)は11月26日、ピザ窯を用いた食事会を開催した。「自治会は子どもや高齢者向けのイベントが多いが、働く世代へのメリットが少ない」という課題に基づいた取り組みで、自治会がピザ窯を購入する例は珍しいという。
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エリア内のふれあい会館で行われた食事会には自治会に加入している17人が参加。2台の窯で次々焼き上げられるピザを食べながら、交流を楽しんだ。今年の夏前に購入し、使用は4回目。働く世代の懇親会や夏祭りで使用されており、今回は「土日が仕事のために集まれない人も参加できるように」とのコンセプトで平日の夜に開催された。参加した人は「ワイワイしながら食べると楽しい。ピザはみんなで食べられるため、こうした会には良い」と好意的に語った。
中間層への視点
約230世帯が加入する同自治会。購入を主導的に進めたのは今年4月に会長に就任した山口さんだ。「中間層の加入メリット」に着目しての購入だと語る。「自治会や町内会は子どもや高齢者向けのイベントを多く行う。だが、20代〜60代の働く世代に向けたものは少なく、加入のメリットを感じにくいのではないか」と指摘。中間層も楽しめる方策を模索する中での取り組みだ。
山口さんの本業は外構工事会社の経営。仕事のために訪れた庭用品の展示会でピザ窯を見つけたことがきっかけとなった。今年5月、まず会社で一台を購入。社内の懇親会で使用し、好評だったため、自治会としても1台を購入した。
港南区連合町内会長連絡協議会の古屋文雄会長によると「港南区内でピザ窯を購入した自治会は聞いたことがない。珍しいと思う」という。また、「子ども会の活動向けに綿菓子機や餅つきの道具を購入する例はあるが、参考にしたい取り組みだ」と話した。
子どもが成長しても
中間層の加入メリットについて、区内の自治会町内会関係者の一人は「一般に子ども会がその役割を担っている」と語る。子どもが受益することが親世代のメリットにもつながるためだ。ただ山口さんは、そうした考え方に賛同しつつ「子どもが中学生になると子ども会から離れて、家族全体が活動に参加しなくなるという現状もある」と指摘する。「子どもが成長した後や、独身の人、子どもがいない家庭でも自治会の人々と交流の機会を作るのが役割と考えている」と取り組みの意図を語った。
今後、1回3000円で個人への貸出を行ったり、子ども会で使用したりと活用の幅を広げる予定だ。
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