上永谷駅周辺に繁殖するハッカチョウ(八哥鳥)のフン害や鳴き声に対する近隣住民の苦情を受け、港南土木事務所はねぐらとなっていた付近のケヤキの枝葉を7月に剪定。それによる効果か明らかではないが、繁殖期を終えてねぐらに戻る秋を迎えた現在も例年のように空を黒く覆い尽くす群れは見られていない。
春から夏の繁殖期には縄張りを持ち、互いに距離を保ちながら民家の戸袋や屋根の隙間などに営巣するが、それ以外は群れでねぐらを作るハッカチョウ。例年この時期に上永谷駅近くのケヤキに集まる数は数百羽以上とみられ、一部の近隣住民からは鳴き声による騒音に苦情もあがっていた。
これを受けて港南土木事務所は7月、「夏場に木陰があった方が良いという声も多いが、『夜に眠れない』という報告もあった」と、定期的な剪定の時期を早め、通常の維持管理よりも枝を長く切り取る「強剪定」を実施。直接的な関係は不明だが、近くのいずみプラザ上永谷自治会の依田代志男会長は「フンの臭いもすごかったが、最近は群れは見られない」と話す。
だが、同事務所は「群れはねぐらの場所を移しただけ。根本的な解決にはなっていないが、鳥獣保護法により捕獲はできない」と対策に苦慮する。
80年代から区内で繁殖
ムクドリ科に属するハッカチョウは全長約26cmで、頭部にある鶏冠のような冠羽と翼の白い斑紋が特徴。中国南部や東南アジアが原産の外来種で、日本には江戸時代に飼い鳥として輸入され、逃げ出したものが野生化したとみられている。
日本野鳥の会神奈川支部によると、国内では1970年代から京都府や大阪府、兵庫県で繁殖が記録されているが、横浜市内では80年代の港南区の例が初。現在はその周辺地域にも範囲が広がっており、ひと回り小さなムクドリと巣穴を競合するため、生態系を守る観点から「できれば排除が必要」と話す。
一方、温暖な地域が原産にも関わらず区内で繁殖していることについて、環境問題の公的研究機関である国立環境研究所は「明確な要因は不明だが、鳥類は体温の維持が可能なので気温はあまり関係なく、それよりも餌の有無が大きいのでは」と分析する。また、現在までにハッカチョウが自然界に与える影響についての研究データはなく、「外来種といえども命あるもの。人間の捉え方による部分もあり、研究所の立場としては科学的な裏付けがなければ『害鳥』と判断はできない」と話していた。
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