横浜市 保育士確保に苦慮 施設急増に追いつかず
横浜市は待機児童ゼロを目標に掲げ、保育所整備を積極的に進めてきた。10年間で300カ所を超える保育所を新設し、合計約5万人の定員枠を確保。一方で保育士の数と質の確保が慢性的な課題になっている。
厚生労働省は2017年度末には全国で保育士が約7万4000人不足していると試算する。市の今年度予算では来年4月に、認可保育所37カ所、認定こども園7カ所を新設する予定だ。市の保育対策課は、最低限必要となる職員数は400人程度と予測する。
市内の民間保育所で働く保育士数と施設は11年の364カ所5535人から13年には492カ所6871人に増加した。だが、1施設当たりの保育士数は15・2人から13・9人に減少。「求人に応募がない」「スタッフ数が足りていない」という現場の声も少なくない。
そんな現状で注目されるのが、資格はあるが、職に就いていない「潜在保育士」。神奈川県登録の保育士は13年3月末時点で7万1294人だが、潜在保育士は約5万人と推計される。
「潜在」発掘に注力
こうした人材を活用しようと今年1月、県と横浜・川崎市などが共同し、「かながわ保育士・保育所支援センター」(【電話】045・312・4816)を開設した。新卒はもとより、潜在保育士を対象とした就職・相談や希望にあった仕事の紹介などを行う。
開設から6月末までの求職に関する相談件数は974件、施設などによる求人相談は561件だった。そのうち、直ちに就職を希望する人は197件で、すでに40人が採用に結び付いたという。県担当者は「需要に関しては足りていないが、半年で40件は期待以上」と手応えを話す。
また7月14日には、市内の保育関連団体が連携して初の「よこはま保育フォーラム」を実施。市も独自の就職面接会を随時開催するなど人材確保に取り組む。
なり手が不足する理由としてあげられているのが「低賃金」や「長時間労働」だ。保育士の平均賃金は月額約21万円で、全職種の平均と比較すると9万円ほど低い(厚労省調べ)。市はこうした状況に対応するため、国の補助金を活用し、宿舎を借り上げて家賃を補助する事業を今年1月から開始。1戸あたり6万円を上限に助成している。ただ、これらの施策も保育士の需要増への根本的な対応策とはなっていないのが現状だ。
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