1991年の統一地方選以降、横浜市議会議員選挙の投票率は5割以下。市選挙管理委員会ではさまざまな対策を行うが成果は上げられていない。選挙制度のあり方を経済学の手法で分析する横浜市立大学の和田淳一郎教授=写真=は「横浜で投票率を上げるのは現状では厳しい」と話す。
要因の1つに、地域住民にとって最も身近であるはずの市会議員が「遠い存在」になっていることを挙げる。人口約370万人の横浜の市会議員の定数は86で、市民約4万人に1人が議員となる割合。4万人に1人となると、地方の他市では市長レベルになる場合もある。「横浜で自分の地域の議員の名前を言える人はあまりいないのでは」。大都市ゆえに顔が見えづらく、地域に根付くことは簡単ではない。
また、市内に居住しても東京都内に通勤・通学する人にとって、生活圏は横浜にとどまらない。しかし市会議員が取り組むことは市内の問題のため、「彼らが求めることと、議員が取り組む問題にずれがある」と和田教授は指摘する。
一方、ある市会議員は投票率が低い現状に「どんな人でも政治に関心を向ける瞬間は必ずあったはず」と話し、「(特に投票率が低い傾向の)若い人が皆、無責任ということではないと思う。政治側にも責任がある」と反省を口にする。また、投票しない有権者からの「どこに投票しても同じ」「興味のある候補者がいない」という声に対して、「有権者をひきつけられる理由がないのでは」と話す。
高校生に着眼
投票率の改善が難しい状況だが、打開策は求められる。和田教授は今年度から市選管の依頼で市立高校を対象に、民主主義の意義や選挙に参加する重要性を伝える特別授業を実施。「高校生に目を付けたのは良いと思う」と有権者になる直前の年代への啓発に着手した市選管を評価し、授業後には生徒から多くの質問を受けるなど手応えも感じている。将来的な投票率の上昇を願い、選挙に参加する意識を広めていく。(続く)
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