栄区田谷町にある「田谷の洞窟」の実態解明調査に千秀小学校の児童が一役買っている。18日から22日にかけて横浜国立大学の研究者らの指導のもと、6年生の児童43人が協力し、洞窟の内部を輪切りにした模型を製作した。800年の歴史の中で初めて内部構造をわかりやすく示した貴重な資料になった。
田谷の洞窟は定泉寺の境内にあり、800年前の鎌倉時代から存在する真言密教の修行場。人工の素掘りで何百年もかけて作られ、全長は570mに及ぶ。壁面各所に仏像や生き物、梵字の曼荼羅(まんだら)などがレリーフ状に彫られている。1990年に横浜市の地域史跡に登録されたが、近年は劣化が進んでいるという。
保存に向けた活動が4年ほど前から始まり、「田谷の洞窟保存実行委員会」を設立。全国の研究者らに呼びかけ、東京大学や埼玉大学、北海道大学、横浜国立大学の研究グループの協力を得ることができた。これまで内部の3次元データ化や画像データの撮影が進んでいるほか、イタリア国立研究機関との共同研究も行われている。
千秀小学校では昨年、田谷の洞窟周辺の地形模型図を作成。今年は6年生の児童が内部の模型作りに挑戦した。3次元データにより50分の1に描かれた断面図を児童が丁寧に一枚一枚切り抜く作業に取り組み、最終日の22日には台座に並べて1・6メートルの模型を完成させた。
「800年経って初めて洞窟の形を明らかにすることができた。床の厚さや壁の厚さがよくわかる。これからの調査や保存活動に非常に役立つ資料ができた」と実行委員長の田村裕彦さん。
指導にあたった横浜国立大学の守田正志准教授は「子どもたちの体験を通じて研究成果を社会に還元できる意味のある取り組み。次世代につなげていくためにも、子どもたちにわかりやすく、興味を持ってもらうことが大切」と話している。
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