横浜・野毛発祥のサンバチーム「エスコーラ・ヂ・サンバ・サウーヂ」の代表 石山 和男さん 中区西之谷町在住 55歳
サンバは日常の中に
○…「他のチームとは比較しない、俺たちは俺たちのサンバをやる。でも、一番本物のサンバを見せるんだ」。そんな誇り高き思いで挑んだ浅草サンバカーニバルで、悲願の2連覇を果たした。「これまで積み重ねてきた練習の成果が形になって嬉しい。応援してくれた地元の仲間たちにも感謝の気持ちでいっぱいです」と、喜びをかみしめる。
○…レコード会社に勤務していた頃、ブラジル音楽の虜に。「これさえあれば何もいらないと思うほどでした」。仕事を辞めて1年間バイクでブラジルを巡り、現地で家族や地域など、コミュニティ全ての中心にサンバがあることに衝撃を受ける。リオのカーニバルの感動冷めやらぬまま、帰国後、前年に仲間が立ち上げていたサウーヂへ入った。設立から26年が経ち、当時のメンバーも家庭を築き、その子どもが参加するなど一つのコミュニティを形成しつつある。「子連れでも全然OK。チーム皆で育てればいい。単なる踊りだけでなく、本場サンバの世界観も体現できれば」。
○…チーム名の「サウーヂ」はポルトガル語で「乾杯」の意味。「呼吸するように酒を呑んで」と表現するとおり、野毛の行きつけのお店で気心知れた仲間たちとハシゴ酒を楽しむ。元々は音楽が縁だったが、気づけばサンバに大道芸にと、野毛のまちにどっぷり浸かる。妻とも大道芝居が縁。普段は旅行やバイク、音楽雑誌を中心としたフリーライターとしての顔を持つ。「ブラジル人の優しさや、ストレスなんて感じないっていう大らかな気質も好き。そうなりたいね」と笑う。
○…「自分にとってサンバはまさに師。やり続けていれば色んなことを教えてくれる存在」。歌の解釈やその世界観から人生を学び、サンバを通じて出会った人たちはかけがえのない存在だ。「まだまだ地平線の彼方にあるけれど、目指すは本場リオのカーニバル」。静かな語り口調の中に、情熱の炎が燃えている。
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