12月6日に関内ホールで独演会を開く真打の 三遊亭 遊吉さん(本名:能條 正美) 中区西竹之丸在住 54歳
万人が楽しめる落語を
○…「落語は笑いに行くところ。映画館に行くような気持ちで気軽に楽しみに来てもらえたら」。12月6日に関内ホールで独演会を行う中区在住の真打。普通に話していても軽妙で小気味良い語り口が噺家のそれを感じさせる。どんな噺も現代風にわかりやすく話すことを心掛け、聞きに来る人が気軽に楽しめる落語を目指す。
○…伊勢原市出身。落語に興味を持ったのは小学生の頃。折しもラジオやテレビでは演芸番組が真盛。そして新宿の寄席「末廣亭」で見た、一人の人間が大勢の観客を笑わす光景に心を奪われた。「同じ噺を同じ演者がはなしても会場の雰囲気で毎回変わる。面白いよね」。伊勢原から末廣亭に通ううち、すっかり夢中になっていった。
○…落語家の道に進んだのは大学卒業後。1982(昭和57)年、三遊亭遊三に入門し、「三遊亭遊吉」の名を受けた。前座の修行の日々は厳しくても辛いとは感じなかった。「そりゃあ好きで入った世界だからね。好きな落語が毎日できるだけで楽しかったよ」。86年に二つ目に、94年には念願の真打に昇進した。昇進を機に改名する人も多いが、遊吉の名に愛着を感じ、32年間同じ芸名で通してきた。「今じゃあ親につけてもらった名前よりも長く一緒にいるよ」。人情噺や滑稽噺を得意とし、好きなネタは「小間物屋政談」や「猫の災難」。古典落語を愛し、今でも稽古に精を出す日々を送る。
○…結婚を機に16年前に横浜へ。國學院大學文学部兼任講師の顔も持ち、高座に上がる以外にも地元の敬老会や落語芸術協会が主催する横浜にぎわい座での小学生向け落語会、横須賀刑務支所での演芸慰問なども行う。10年ほど前からはタイの山岳民族の子どもたちを支援する「アジアいちご基金」に協力し、資金調達のためにチャリティー落語会も開く。「自分の芸が社会の役に立つなら何より」。落語家らしい笑顔の中にも確かな熱意が感じられた。
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